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2018.10.09 08:00

起業から4年、私が経営者として大事にした3つの考え|ハヤカワ五味

ファッションデザイナー ハヤカワ五味

若い女性から圧倒的な支持を得るアパレルブランドを展開するファッションデザイナー「ハヤカワ五味」こと稲勝栞。若手女性起業家の彼女が創業から丸4年を経て得た、起業家としての素養、ブランドの育て方などについてドリームインキュベータ村上が聞いた。(全3話)

「顧客視点」不足に気づいた、創業初期の原体験

──まず、ハヤカワさんが事業を始められたきっかけをお教えください。

弊社では、胸が小さい人(シンデレラバスト)向けのランジェリーブランド『feast』、『feast secret』、細身向けワンピースブランド『Double Chaca』を中心としたアパレルブランドを展開しています。

まだ私が学生だった頃に、twitterで「Aカップ向けのブラがない」とつぶやいたら反響があったことが始まりのきっかけでした。試しにサンプルを手作りしてまたtwitterにアップしたところ、さらに話題になったことから、この事業はスタートしました。

最初はこの事業で食べていこうというつもりもなくて、手作りで全て作っていましたが、弊社の商品を本当に必要としてくださる方々がどんどんと増え、結果的に2015年に法人化し、今に至ります。ずっとネット通販のみでやってきたのですが、今年はラフォーレ原宿に店舗を初出店することもできました。
 


──起業家にとって重要な素養を3つ挙げるとすれば何でしょうか?

1つ目は、「徹底した顧客視点」。自分の都合のいいように考えるのではなく、あくまで一般消費者目線を持ち続けることが重要です。

2つ目は、「ユーザー・クリエイター・経営者」の三者の視点をバランスよく考え、パフォーマンスを最大化する力。どれかに偏ってしまうと、事業は上手くいきません。

3つ目は、「誠実であること」。誠実であるからこそ、大変な時でも協力してくれる人が出てきてくれるのだと思います。

──1つ目の「顧客視点」が大切だと思われた原体験はございますか?

一般的に起業時は、「完成度にこだわらず、なるべく早く市場に出してPDCAした方が早い」と言われていますが、私自身も、創業時の商品は、今に比べるとクオリティが高かったとは言えない状態だったと思います。

しかし、ブランドを丸4年続けてみて気づかされるのは、人は最初に嫌な経験をすると、何年経ってもその悪いイメージを引きずってしまうということ。最初の商品クオリティのイメージが、いまでもビジネス的に機会損失になっていると感じています。

創業間もなく力不足だったとはいえ、「顧客視点」が足りていなかった、お客様に不誠実だったなと後悔しています。



顧客をポジティブにさせるための「思考のバランス」

──「顧客視点」を持つためにどのような工夫をされていますでしょうか?

私の場合はtwitterのエゴサーチですね。息をするようにエゴサーチしてます。(笑)ネガティブな意見は、直接お客様から上がってきづらいものです。その点、twitterはお客様のネガティブな意見も含めて、素直な感想をダイレクトに拾うことができます。

もちろん、すべての課題を解決できるわけではないですし、ネガティブな意見を見ることは楽なことではありません。ただ、一番経営者として怖いのは「改善点が無い」状態です。手詰まりで首が締まっていくのを待つのが一番怖いです。そのため、お客様の意見をとにかく拾い、改善点の選択肢を増やしていくことに意味があると思っています。選択肢さえあれば、あとは優先順位をつけていけば良いですから。
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文=村上岳 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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