ビジネス

2018.10.04 08:00

次世代フィンテック企業が狙う「不動産と保険」の巨大市場

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フィンテック領域へのベンチャーキャピタル(VC)の投資額はここ数年、膨らみ続けており、2010年の19億ドルから2017年には275億ドル(約3.1兆円)に達した。貸付やモバイルウォレット関連のブームは一息ついた感もあるが、今後の拡大が期待される分野も多い。

不動産テック

不動産テックは今ホットな領域だ。先日、ボストンで開催されたフォーブスの「30アンダー30サミット」で、フィンテックのセッションを率いたベインキャピタルのMerritt Hummerは「ここ1年半ほどの間で、不動産テック関連の投資は盛り上がりを見せている」と話した。

大手不動産デベロッパーの「Brookfield」らは戦略的なベンチャーファンドを設立した。今夏には創立2年のVC企業「Fifth Wall」が不動産テック向けに4億ドルのファンドを立ち上げた。

サンフランシスコの「Opendoor」はオンラインで家が買えるプラットフォームを運営しており、先日は企業価値20億ドル以上で4億ドルを調達した。不動産投資を手軽に行える場を提供するスタートアップの「Cadre」や「PeerStree」も注目されている。

保険を変えるインシュアテック

保険(Insurance)をテクノロジーで進化させる領域は、インシュアテック(InsurTech)と呼ばれ注目が高まっている。「保険分野はテクノロジーの導入が10年も遅れており、支払いやインフラ面での革新が期待される」とフィンテックに注力するVC企業「Oak HC/FT」のPatricia Kempは、30アンダー30サミットの場で述べた。

Oakがこれまで出資した企業には、北カリフォルニア本拠でオンデマンド保険を提供するスタートアップの「Trov」や、人工知能(AI)の活用で保険企業の業務を効率化させる「Clara Analytics」などがある。また、家賃保険を手がける「Lemonade」も事業を拡大している。

一方で、次世代のフィンテック領域を担う技術として期待されるのがブロックチェーンだ。スマートコントラクトの仕組みを使えば、保険金の支払いも効率化できる。Kempは、保険分野はブロックチェーンが強みを発揮する領域になるかもしれないと述べる。

「しかし、現状では保険事業の運営コストの70%は、書類をベースとした業務に関わるものだ。スマートコントラクトを導入する以前に、書類まわりの処理を効率化するテクノロジーが求められている」とKempは述べた。

紙べースの業界をいかに変えるか?

金融分野では依然として紙ベースの業務が大半を占めている。「支払いに絡む業務の大半は、紙の小切手をベースとしている」とGeneral CatalystのMatt Brennanは話す。「これらの業務を一括してデジタル化できれば、巨大な可能性が生まれることになる」と彼は述べた。

編集=上田裕資

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