紛争地帯から材料を調達し、生産者や蒸留業者に新たな市場の機会を作り出すというセブン・バーチューズの事業モデルは、一見シンプルであるものの、実行は非常に難しい。「アフガニスタンから持ち出したオイルを香水にして栽培農家に送り返し、畑で簡単な写真を1枚取るだけのことが、非常に難しかった。香水はアフガニスタン国内で特に危険な道を通らなければならなかった」
事業はアフガニスタンのみにとどまらない。アフガニスタン産オイル2種類を主原料とした最初の香水ラインを発売後、スタグマンはすぐにルワンダやハイチ、イスラエルなど、世界中から依頼を受け始めた。
「ビル・クリントンとハイチを訪問することは計画していなかった」とスタグマンは語る。ハイチ訪問には、クリントン元米大統領のほか、独自の事業モデルを持ち、非従来型のサプライチェーンからの調達に取り組む姿勢を見せる企業が同行した。
セブン・バーチューズは現在、ハイチからベチバー、ルワンダからパチョリ、インドからジャスミン、マダガスカルからバニラを調達している。こうしたエッセンシャルオイルはブレンドされ、“クリーンビューティー”に焦点を当てたセフォラでの新商品ラインの原料となる。
スタグマンは昨年、美容品業界の女性起業家を対象としたプログラム「セフォラ・アクセラレート」の対象者に選ばれ、5000ドル(約55万円)の給付金とセフォラチームからのサポートを得た。「これは会社にとって大きな助けになった。私はミレニアル世代ではないので、この層に向けたマーケティングの知識が足りない。私はただ、会社の理念とその可能性に本当に情熱を持っているだけ」とスタグマンは語った。過去7年間は、会社を存続させることに四苦八苦する日々だったという。
それでも、結果は少しずつ数字に表れてきている。セブン・バーチューズはこれまで、アフガニスタンだけで1000人の農業従事者に影響を与えてきた。ピース・パフュームは今年末までに米国のみで100以上のセフォラ店舗で販売される予定。「これが始まりに過ぎないことを望んでいる」とスタグマンは述べた。