「どのようなタッチで、どのようなアイコンを生み出すか」は「有限な選択肢」などではなく、無限の可能性が広がっているのではないか、と考える方がいてもおかしくありません。
しかし、ここで重要なのが「言い切る」というところです。確かに細かく言えば、一流のデザイナーは無限の可能性やアイディアを生み出せることでしょう。しかし、必ずしも世の中の全ての企業が一流のデザイナーにロゴデザインを依頼できるわけではありません。
予算の限られた中小企業であっても、見栄えがよく覚えやすいロゴを使うことはマーケティング面でメリットを得られますし、だからといってデザインのセンスやスキルを持ち合わせていない人が、何となくロゴを作ってみてもダサくなってしまうかもしれません。
しかし、ここで上手くAIを使えば、一流のデザイナーというほどではなくても、それなりに満足度の高いロゴデザインを得ることができます。この時必要なのは無限の可能性を追求することではなく、「有限なフォント、アイコン、それぞれの色と配置の選択肢のうち、最適なもの」を選ぶだけでも十分機能するわけです。それが、少し抵抗があったとしてもとにかく試しに一度「言い切ってみる」という意味になります。
我々の仕事の多くは、囲碁や将棋のようにルールが明確なものではなく、例外や感情価値といった様々なAIで扱いにくい側面を持っていることを皆さんは既に学んで来ました。
しかし、だからといって「AIなんか役に立たない」と諦めるのではなく、難しい側面を除くどこまでの範囲なら「有限な組合わせのうち最適なものを選ぶ」だけで実現できるかを考える方が得策です。
そして、試しに言い切ってみた上で、そのアイディアが本当にAI向きなのかどうか、もっとアイディアをブラッシュアップするような方法はないのか検討する方法を皆さんは本連載の中で既に学んで来たはずです。
私が関わるワークショップの中でも、これまでいくつもこうした言い切りから素晴らしいアイディアが生まれてきました。本連載をここまで読んで頂いた皆さんからも、是非素晴らしいAIプロダクトが生まれてくることを私は願っています。
連載:失敗しないAIプロダクトの作り方
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