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失敗しないAIプロダクトの作り方

Rawpixel.com / Shutterstock

いよいよ今回が最終回となる本連載ですが、ここまで「失敗しないAIプロダクトの作り方」というテーマで次の5つの観点をそれぞれ考えてきました。

(1)その製品で解決可能な「総負荷量」が世の中でごく小さいものである

(2)その製品で答えようとする問題は「同質性」が低く、あまりにケースバイケースなものである

(3)その製品がごくまれにでも誤った結果を示した場合に、どのようなリスクを誰が負うかという「責任性」の大きいものである

(4)その製品が最適解として提示してくる選択肢のうち「有効性」が高いものは、考え得る全ての組合わせの中でごくまれなものである

(5)その製品の働きは人間が行なうこと自体が意味を持つような「感情価値」の大きいものである

今あるAIプロダクトの価値を判断して改善するならこのチェックリストに従えばよいだけですが、そもそも「何に使ったらいいか」というところから思いつかない方もいらっしゃるかもしれません。

本連載の最後に、そうした人のために最初のアイディア出しのための枠組みを紹介しておきましょう。新しいAIプロダクトのアイディアを出すためには、次のような穴埋め問題を考えて、「言い切って」みるのがおすすめです。

「○○とは、有限な××の選択肢や組合わせのうち、最適なものを選んでいるに過ぎない」

このうち○○の部分には、現在人間が行なっている活動が入ります。例えば本連載で何度か言及した囲碁のAIなら、次のように記述することができるでしょう。

「囲碁とは、有限な『手』の選択肢のうち、最適なものを選んでいるに過ぎない」

このフォーマットに基づいて、報道される新しいAIプロダクトを整理するのもよい練習になりますし、自分自身や自分たちの会社、あるいは自分たちの会社の製品が提供している仕事の一部をこんな風に整理してみてもよいでしょう。

例えば最近AIが自動的にロゴをデザインする、というサービスがいくつかの会社から提供されていますが、これも「何となくロゴデザインをさせたい」と考えていただけではAIプロダクトを作り出すことはできません。

しかし、これを前述のフォーマットで整理することで、具体的にどのようなデータや仕組みが必要かを具体化させることができます。

「ロゴデザインとは、有限なフォント、アイコン、それぞれの色と配置の選択肢のうち、最適なものを選んでいるに過ぎない」

もちろんこういう発言にロゴデザインの専門家は抵抗感を覚えるかもしれません。ちょうど弊社も最近一流のデザイナーに依頼してロゴを一新したところですが、デザイナーによっては全く新しいフォントを作ったり、アイコンを手書きで作ってくれる人もいます。

文=西内啓

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