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イーロン・マスク(Photo by Mario Tama/Getty Images)

米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク会長兼最高経営責任者(CEO)が今年8月、自社の株式非公開化を検討しているとツイッターに投稿したのは、交際相手の女性を感心させるのが狙いだった──米証券取引委員会(SEC)にそう判断されたマスクは、その“誤った”つぶやきのおかげで、2000万ドル(約22億7700万円)の罰金を支払うことになった。

だが、実際にツケを払わされることになったのは、私たち全員だ。SECは、マスクが会長職から辞任することに加え、独立取締役2人を新たに選任すること、マスクの外部とのやりとりについて監視するための新たな規約を定めることを義務づけた。つまり、マスクは今後、テスラに関連したツイートの全てについて、自社の承認を得なければならなくなる可能性が高いということだ。

マスクのツイッターアカウントはこれまで、テスラに関するあらゆる事柄に飽くなき関心を示す人たちに情報を発信したいテクノロジー分野のジャーナリストにとって、常に何かを提供してくれる情報源だった。良くも悪くも、マスクが何かツイートすれば、それだけでニュースだからだ。

ツイッターへの投稿は、怒れる顧客らが苦情を訴え、是正を求めるための方法であり、ジャーナリストらが製品や機能のアップデートの予定などについて知るための方法でもある。そして同時に、カリスマ的CEOが約2270万人のフォロワーとつながる方法であり、さらにはボラティリティーの高いテスラの株価を浮揚させるための方法でもあったようにみられる。

だが、SECのマスクとの和解の条件は、こうしたオープンな情報発信を終わらせることになる可能性がある。それを示すかのように、マスクは9月28日以降、ツイッターを更新していない。

もちろん、その沈黙はマスクが第3四半期の最終週に「モデル3」の“引き渡し地獄”から抜け出せずにいるためかもしれない。ただ、SECが目を光らせるなか、マスクにとってはテスラが生産・納車の目標達成にどれほど近づいているのか(いないのか)、何も発言しないことが最善の策ではある。何と言っても、マスクがどれだけの睡眠を取れているのかということさえもが、株価に影響を与え得るのだ。

テスラに関するツイートについては今後、両手を縛られた状態になるマスクだが、CEOを務める宇宙開発ベンチャー、スペースXや以前から進めているその他のプロジェクト(ザ・ボーリング・カンパニーのトンネル掘削事業など)についてコメントすることは認められるのだろうか。これについては、現時点では不明だ。

ツイッターを通じたマスクの発言に関するテスラの方針は、できれば彼が手掛けるその他のベンチャービジネスに制約を課さないものであってほしい。

マスクの発信から彼のイノベーションについて何かを“垣間見る”ことがなくなれば、世間は電化された未来や宇宙旅行に対する非常に大きな関心を失ってしまうかもしれないからだ。そうなることは、誰にとっても良いことではない。

編集=木内涼子

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