悲観的でカオスな時代から「最高の世界」を引き出す方法

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昨今さまざまな場面で、「超高齢化社会だから」「人口減少だから」「暗い世の中だから」など、課題が山積している社会だという悲観的な風潮があり、また世界状況を「VUCA(Volatility:不安定、Uncertainty:不確定、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)」と表現することがよくあります。

しかし私は、そんなカオスな状況こそが我々にとって最高を描くきっかけになり得ると考えているため、今回はその考え方をシェアしたいと思います。

なぜカオスを生きた人は最高を描きやすいか

輝いている人々を観察していた気づきの一つとして、私には「カオスを生きた人は最高を描きやすい」という持論があります。

例えば、私は起業してから6年目になりますが、順調に進んでいたときよりも予想不可能なことや理不尽なことが起こったときこそ、自分自身や企業が目指したいものが何かということを明確に認識することができました。

私の周りの友人の起業家に、これまで生きてきていつが一番カオスだったか? という質問をして回ったときにも、予測不可能な問題が起こったときにこそ、目指したいものが固まっているなと感じました。例えば、3.11の震災をきっかけに起業した人も多いです。

また、この仕事を人生をかけてどうしてもやりたいと、熱く語っていた人になぜそうなるのかを聞いたところ、以前難病で生死の境をさまよった経験があり、そのときに「こういう風に生きたい」と気づいたと語ってくれました。

予測不可能な事態が起こる環境や理不尽な環境にさらされたときに、人は、どんな環境であろうとどうしてもここに行きたいと、初めて理想とする世界を決めることができるというのはよくあることです。

それでは次に、なぜカオスな環境にさらされると人は最高を描きやすいか? という疑問になります。

そもそも「カオス」とは、「混沌とした秩序のない環境で予測が不可能である」ということです。

その混沌とした世界で自分の思い通りに行かない経験をすることで、自分が何を求めているのかの認識を重ねていくことになります。もしも世界が自分の思い通りであり、思い通りに進まない環境を経験しないのであれば、「社会をよくしたい」という概念が生まれることはありません。

人はカオスな環境にさらされると「自分軸」を持てるようになります。

例えば、規則正しい流れでどこにたどり着くかわかっている清流であれば身を任せても何の問題もないかもしれませんが、どこへ行きつくかもわからない大海にいるのであれば、自分の羅針盤が必要不可欠となります。カオスな環境では、他力本願では行きたいところへ行けません。

大海で予想外の流れに流されそうになって初めて、そっちは自分が行きたい場所ではない、と認識できます。

つまり、カオスな環境によって自分の理想を認識しやすくなるのは、「1. カオスな環境によって自分軸が認識できるから」、また逆に、「2. 自分軸がないと行きたいところにいきつけないから」ということになります。

それでは次に、なぜカオスな環境によって自分軸が作られやすくなるのか? という疑問になります。

カオス環境だと自分軸が作られる理由

カオスな環境、つまり予測不可能な無秩序混沌の世界にいると、予測していなかった方向に行ったときに「何故そうなったのか?」という疑問が生まれます。


カオスな環境だと、この「何故?」の力が働く回数が多くなるため、自分軸が作られていきます。

例えば、仮想通貨の価値がずっと一定に高騰していたときは投機目的で思考停止しながら投資していた人も、価値が予測不可能になったときに初めて、何故仮想通貨の価値が上がるのか? 仮想通貨とは何なのか? 何故自分は投資するのか? という思考が働くようになります。
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文=高橋祥子

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