ビジネス

2018.09.28

テスラ「CEO辞任」は不可避、大株主も今後を不安視か

イーロン・マスク(Photo by Mario Tama / Getty Images)


筆者は最近、ある個人投資家から「株価のうち、マスク自身の価値が占める割合はどの程度か」と尋ねられた。26年間にわたって自動車関連株の分析を行ってきた筆者の答えは、「半分」だ。

9月最終週に入り、同社株は300ドル程度で取引されている。この水準から考えると、テスラの事業だけを考えた場合の株価は150ドル、マスクによるプレミアムが150ドルということになる。

筆者がこれとは別に行った同社の財務状況に関する分析でも、適正な目標株価は150ドルとなった。その他の自動車メーカー幹部らの意見に基づいて検討した場合でも、これらのメーカー各社が適正な価値と判断し、同社株の取得を前向きに考える可能性があるのは150ドルだとみられる。

テスラ株を保有している理由が「イーロンを信じているからだ」という人は、改めて考えてみた方がいい(同社に関する否定的な記事を執筆して以来、筆者はこの言葉を含むメッセージを数多く受け取っている)。

株を保有しているのは、マスクのためだろうか、バッテリー電気自動車(BEV)の推進システムを開発する主要企業であり、ユーザー体験のデザインに優れた企業だからだろうか?

「イーロンのため」に株を保有するという考えが変わらないのであれば、彼が同社の経営に日常的に関わる立場から退く日に備えなくてはならない。テスラの今後は、取締役会の出方次第だ。筆者の考えでは、取締役会が金融市場でいくらかでも信頼感を維持するために出し得る唯一の結論は、マスクのCEO辞任だ。

編集=木内涼子

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