ビジネス

2018.10.01

米中対立でアジア市場に注力のアリババとテンセントの思惑

BigTunaOnline / Shutterstock.com


決済の覇権を狙うテンセント

一方でテンセントは東南アジアの「Sea」の保有株式比率を36%に増やした。シンガポール本拠のSeaは東南アジア版テンセントと呼ばれる企業で、Eコマースの「Shopee」を運営している。テンセントはまた、ジャカルタ本拠のライドシェア企業「Go-Jek」に出資している。

Go-Jekはライドシェアのみならずデジタル決済のGoPayプラットフォームを運営しており、ソーシャルの覇権をも握りつつある。「テンセントは東南アジアでクロスボーダーな決済プラットフォームを構築し、SNSネットワークの拡大も狙っている」とアナリストのDanny Muは述べた。

しかし、東南アジア地域への進出はコスト負担も大きい。インドネシアのEコマース市場規模は来年、インドに追いつくとみられており、LazadaやTokopedia、Shopeeさらに中国のJD.comらが激しく覇権を争っている。「CLSA」のアナリスト、Paul McKenzieによると、企業らはマーケティング費用に莫大な額を支払っており、いずれも赤字だという。

「収益化に向けた動きは活発だが、利益を生み出すまでにまだかなり長い時間が必要だ」とMcKenzieは直近のレポートで述べた。しかし、企業らは今後数年の間は損失を生み出す覚悟で、なんとかこの市場をものにしようとしている。

編集=上田裕資

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