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ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座

シャンパーニュ・パスカル・ドケ(Pascal Doquet)でのシャルドネのブドウの収穫風景(2018年9月撮影)

収穫の秋がやってきた。穀物や果物が実りの時期を迎えるいま、ワイン用のブドウも収穫の真最中だ。

収穫期は、ブドウ栽培農家やワイン生産者が一年で一番忙しい時期であり、ワイン産地が最も活気づく時期でもある。

ワイン用のブドウは、甘さだけではなく、糖度と酸度、フレーバー、タンニンなどのバランスが大事になる。収穫期になると、ブドウ栽培農家は何回も畑に出て、サンプルのブドウを摘み、ラボで糖度や酸度といった数値を分析する。

そこで重要なのが、実際にブドウの粒を味見すること。味わいに加えて、果皮の食感や種の成熟具合などもチェックして、最適な収穫のタイミングを決定する。こういった地道な作業の積み重ねが、美味しいワインの素地となる。


シャンパーニュ・ルイ・ロデレールの畑でブドウの味見をする栽培責任者のヨハン(Johann Merle)さん

ブドウは農作物なので、品質や収穫量がその年の天候に大きく左右される。年によって個性があり違いがあるのが、ワインの面白いところでもあり難しいところでもある。

ワインの場合、「ヴィンテージ」と言う言葉は単にブドウの「収穫年」を指す。今年は偉大な年(グレイト・ヴィンテージ)だ、難しい年だ、などと、その年の評価が出回るが、ヴィンテージごとの出来はその後のワインの価格にも影響する。

ワイン用ブドウは、他の農作物と違って、必ずしも豊作が良いというわけではない。経済的にも、ある程度の量が確保できることは必要だが、例えばある畑の区画からとれる量が多すぎると、1つ1つのブドウの味わいが薄まり、濃縮度に欠けたワインになってしまう。

収穫までの生育期間はブドウの品種によって異なる。また、同じブドウ品種でも摘む時期により香りや味わいが変わり、醸造家が目指すワインのスタイルによっても収穫のタイミングが決まる。

例えば、白ブドウのソーヴィニョン・ブランはもともと成熟が早い品種だが、フレッシュな果実味のワインを作りたい時は、酸度が高いうちに早めに収穫される。黒ブドウのカベルネ・ソーヴィニョンは成熟するまでに時間がかかり、遅めに収穫されることが多い。カリフォルニアのナパ・ヴァレーであれば、この2つのブドウ品種の収穫は2カ月近く離れることもある。


シャンパーニュ地方のヴェルテュ(Vertus)村の畑で収穫されたばかりのシャルドネ

去年に引き続き、今年も収穫期にシャンパーニュ地方を訪問した。今年は、夏に気温が高く暑い日が続き、8月半ばに収穫が始まるという異例の早さだった。8月はフランス人にとって大事なバカンスの月だが、今年は早めに休暇を切り上げる生産者もいた。

シャンパーニュのブドウは、規則により、すべて手摘みで収穫される。そのため、この時期この地方には収穫のためにたくさんの季節労働者がやってくる。その数は、10万人とも言われ、東欧や北フランスからの人が多い。

文・写真=島悠里

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