ビジネス

2018.09.28

上場、グローバル展開を経て見えてきた、経営者の「使命」|新野良介

ユーザベース代表取締役 新野良介


グローバル展開が進んでも、決して変わらないもの

──世界展開についてお聞きしたいのですが、今、どういう課題を抱えておられますか?

私達はサービス業なので、グローバル展開の際にはローカライゼーションが重要になってきます。

では、ローカライゼーションをするためには何が大切かというと、そのエリアのことをよく把握している人、「肌触りのある需要」を良く知っている人が、執念を持って私たちと同じ夢を見てくれるかということです。

これが一番難しくて、一番努力しなければいけない肝の部分だと思います。それぞれのローカルのマネジメントや、所属メンバーが情熱や夢を持てる組織を作れれば、半ば成功したようなものではないでしょうか。



──それで言うなら、強い情熱を持った人を指名し、後天的にローカルの肌感を得てもらった方が早いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

1話で「肌触りのある需要」についてお話ししましたが、これはお客様一人ひとりを大切にするということです。

しかし、そのエンジンを動かすためのガソリンは情熱であり執念なので、執念の強い人を指名して肌感を得てもらうほうが上手くいきやすいのは事実だと思います。

ただ、執念というのは、3話で言及したように試してみないと分からないですし、事業を進めていく中で強くなっていくものなんですよ。

例えば、子どもの頃、工作の時間がありましたよね。その時、どんなに下手くそでも、自分が作ると「何だかいいな」と思えたのではないでしょうか。人間は手塩にかければかけるほど、それそのものに自己愛が投影されて愛着が湧いてくるんです。

さらに言えば、強い執念を持つ人を得られても、ローカライゼーションの過程で変えてはならないものもあります。

それは弊社の場合、ミッションとバリューです。なぜなら、ミッションとバリューが私達ユーザベースのコミュニティーの最小約束であり、その価値を掲げて応援してもらったりしているからです。

グローバル化に伴い様々な変革は必要ですが、ミッションとバリューは強化・調整されることはあっても、変えられることは絶対にありません。

文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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