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ブレイヤー・キャピタル創業者 ジム・ブレイヤー

学生に人気のSNSに過ぎなかった「フェイスブック」が、今や約21億人のユーザーを抱えるまでに成長すると誰に想像できただろうか。だが、ベンチャー投資会社アクセル・パートナーズのジム・ブレイヤーにはその片鱗が見えていたのだろう。

まだフェイスブックの社員が10人足らずだった頃、共同創業者のマーク・ザッカーバーグに頼み込んで出資。アクセルにとって最大級の投資を成功させた。ブレイヤーは現在、自らの名を冠した投資会社を立ち上げ、AI企業に特化して出資している。その理由を聞いた。


Q. AI(人工知能)に特化して投資しているのはなぜですか?

A. AIに投資する10カ年計画の2年目に入りましたが、非常に魅力的ですよ。いま最も面白い画期的なアイデアは、コンピュータ・サイエンスへの理解はもちろん、医療や製薬の専門知識があり、かつスタートアップに不可欠な起業家精神を持ち合わせるアカデミアから生まれています。

Q. AIの概念は、1950年代にダートマス会議で初めて提唱されています。それがなぜ、今になって爆発的に成長したのでしょうか。

A. 2010年頃に大きな変化が見られるようになりました。クラウドの登場によって膨大なデータセットの分析が可能になったからです。ビジュアル・コンピューティング(CGや画像を使った技術)の領域でブレイクスルーもあり、私が出資している「Paige.AI(ペイジAI)」のような医療系スタートアップにも大いに役立っています。

Q. 60日ごとに医療データが倍に膨らんでいるとの話も聞きます。

A. ええ。そして、クラウド上のスーパーコンピューティングを使うことで、それも分析できます。巨大なデータセットを解析するためのアルゴリズムを組むなんて、5年前にはできなかったことです。

Q. 具体的にはどういうことでしょうか。

A. 例えば、ニューヨークにあるメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターは、世界でも最も多くの病理データを保有している医療機関の一つです。そこでは、クラウドとビジュアル・コンピューティング、機械学習アルゴリズムを組み合わせることで、医師が患者のためによい決断を素早く下せるよう支援しています。

Q. AI企業は、一般的なテクノロジー企業を作るのとはだいぶ違いますか?

A. まったく違うものですね。AI企業の場合は創業の初日から、分野横断的に対応できる学際的な能力が求められます。

Q. それはどういうことでしょうか。

A. 一般的なテクノロジー企業の多くは、優れたコンピュータ科学者とソフトウェア開発者20人くらいで立ち上げます。その後、マーケティングやセールス部門の従業員を加えて会社を育てるものです。ところがAI企業を創業する場合は最初から、例えば、がん研究などの専門分野への深い理解を持つコンピュータ科学者が必要になります。

interview by Rich Karlgaard photograph by Michael Prince

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