ふたりとマーク・ザッカーバーグとの間には意見の対立があったと複数のメディアが報じている。シストロムは自身のブログで「好奇心と創造性の追求に向け、しばらく休息をとる」と述べた。
ふたりの辞任はフェイスブックが一連のスキャンダルへの対応に追われ、信頼回復の取り組みを進めるなかでの出来事となった。シストロムらが8年前に創業したインスタグラムは、2012年にフェイスブックに10億ドル(約1100億円)で買収され、今では10億人以上のユーザーを抱える規模になった。
インスタグラムの共同創業者の(左)マイク・クリーガーと(右)ケビン・シストロム
フェイスブックはこのところ、社内の組織再編を進めており、9月上旬にはインスタグラムの元COOのマーン・リーバインが、フェイスブックアプリのグローバル責任者に異動すると発表した。また、5月にはインスタグラムのプロダクト部門の幹部が、フェイスブックが新設したブロックチェーン部門に移籍していた。
フェイスブックからは、同社が2014年に220億ドル(約2兆5000億円)で買収した「ワッツアップ」の創業者(ジャン・コウムとブライアン・アクトン)も離脱していた。ワッツアップCEOのコウムは今年4月に辞任。その1カ月前の3月には、アクトン(昨年11月に退社)がフェイスブックのプライバシー問題への対応を非難する「フェイスブックを削除しろ(#deletefacebook)」とのツイートを発していた。
資産運用会社「ロバート・W・ベアード」のテクノロジー部門のコリン・セバスチャンは、フォーブスの取材に「インスタグラムの共同創業者らの辞任は、フェイスブックの幹部らにさらなる難題を与えることになる」と述べた。
インスタグラムとフェイスブックの間には、根本的なカルチャーの違いがあったことも指摘できる。フェイスブックが「Move fast and break things(素早く行動し破壊せよ)」というモットーを掲げるのに対し、インスタグラムの根本には「Handle with care(丁寧に扱う)」的な精神があったといえる。
2016年中旬のフォーブスの取材に対しシストロムは、ザッカーバーグらがインスタグラムの独立性を尊重する点に惹かれたと述べていた。
当時シストロムは「マークは、君たちは自分が作りたいプロダクトを作ればいいと言ってくれて、そのスタンスは今まで変わっていない」と語っていた。フェイスブックはデータドリブンな企業であり、インスタグラムはもう少しクリエイティブ寄りのアプローチをとっていると彼は話していた。
「ここで働いていて楽しいのは、いろんな仲間から学び合い、助け合いながら仕事ができることだ」とシストロムは述べ、オキュラスのブレンダン・イリーベや、ワッツアップのジャン・コウム、マーク・ザッカーバーグ、シェリル・サンドバーグらの名前をあげていた。
「意見がぶつかることもある」とシストロムは語っていた。