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2018.09.25 15:00

アフリカの小学校に明かりを! 佐賀の屋根屋3代目の挑戦


話を聞けば、川口さん自身も大変な苦労人だ。屋根屋の3代目だが、先代である父親が大病で床に伏し、川口さんが子供の頃から会社は開店休業状態だったという。家計を支えたのは母親で、昼も夜もなく働き、4兄弟を育て上げた。

長男である川口さんは高校を1年で中退し、屋根職人のところで修行を始めた。家業を継いだのは23歳の頃。順調に業績を伸ばすも、その後、会社は傾き始める。ゼネコンの下請けとして酷使されたのが原因だった。

そんな困難な状況からの脱却を目指し、会社存続のために社運をかけて挑んだのが、ソーラーパネルの開発であった。当初、アジアの途上国に売り込みをはかるが、そこには既に中国企業の販売網が張り巡らされていたという。

アフリカに恩返しを

いくら高品質のものでも、価格競争で勝負にならないと判断した川口さんが次に目指したのが、当時はまだ誰も手をつけていなかったアフリカだったという。自社の未来を切り開いてくれたアフリカに、ソーラーパネルで恩返しをしたいという気持ちも、川口さんの胸の中にはあるのかもしれない。

「ベナンには、『魚を欲しがる友人に毎日魚をあげるより、魚の捕り方を教えたほうが良い』ということわざがあるのです。私たちのような中小企業とアフリカの人たちとの関わり方も同じなのではないかと思います。物資や技術を与えるだけでなく、現地の人たちと対等な立場で、ともに成長していく。そのような関係こそ、本当に彼らが望んでいるものではないかという気がします」

川口さんのクラウドファンディングは9月末まで。アフリカの未来を照らす明かりに、微力ながら僕も協力させてもらおうと思う。明かりが灯った教室で、これまで以上に輝く子供たちの笑顔を見るのが楽しみだ。

連載 : 世界漫遊の放送作家が教える「旅番組の舞台裏」
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文=鍵和田昇

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