夜にメールする上司は「悪」なのか?

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「電子メールのエチケット」でネット検索したら、ヒットする記事の95%には、夜に仕事のメールは送るべきではない、と書かれているだろう。

私は仕事で米国各地の人々と接してきたが、夜メールする人としない人の間の差はそれほど大きくないと感じている。また、業務時間外にメールをしない人の多くは、その理由の一つとして周囲からの厳しい目を挙げている。

批判を避けたいという気持ちは、大きなモチベーションとなり得る。

深夜のメール対応が次のような罪悪と関連付けられていることを考えると、なおさら避けたくなるだろう。

・部下のパーソナルスペースへの侵入
・権力の乱用(部下が返信を強いられる気分になるため)
・時間管理が下手な証
・頭を切り離す能力の欠如

もし会社の誰もが業務時間外にメールをしているようなら、企業文化を見直すべきであることには、私も同意だ。スマートフォンなどのテクノロジーが、不健全な形で人間を仕事に縛り付けてしまう恐れがあることは、疑いのない事実だ。

ただ、夜にメールをすることをあえて選ぶ人が会社で数人程度の場合は、それに対する批判が正当化されないこともある。多くの場合、悪いのはメールそのものでない。問題なのは、夜にメールする理由と、メールを送る人が持つ期待値が明確でないことにある。

私自身も、夜メールするリーダーの一人だ。私は自分と同じ人々とこの習慣について議論し、「専門家」たちのアドバイスにもかかわらず夜にメールし続ける共通の理由を見出した。この習慣には、以下のまっとうな理由がある。

・日中には対面での関わり合いを優先すべき

日中は従業員との関わりを重視しているため、メールを全部は確認しない。オフィスにいる時間を、仲間と共に過ごしたり、指導したり、力を合わせて仕事を進めたりする代わりにメール作成に使ってしまうのは良くないと思う。

席に数時間座ってメールに返信することは簡単にできる。だが、メール対応は1時間だけにとどめ、より多くの時間を人々と過ごし、残りのメールは夜片付けることもできる。

・夜メールする方が効率的

夜メールする時間は最も邪魔の入らない時間だ。家族との時間に集中した後、自分の時間が取れる。その時間をメールに充てるのは、返信を受け取るのが最も少ない時間帯であることが分かっているからだ。

メールはこのように非同時的なものであるべきだ。日中メールすると、必ずコミュニケーションのやり取りが始まってしまう。そのやり取りは、必要なこともあれば、そうでないこともある。夜ならそんなことは起こらない。メールを送っても返信は来なく、少ない時間でより多くのことができる。
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編集=遠藤宗生

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