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スターバックスのハワード・シュルツ元会長(Alex Wong/Getty Images)

人々にインスピレーションを与えるリーダーは、優れたストーリーテラー(物語の語り手)だ。こうしたリーダーは会話を通じ、自社が売る商品の物理的な特性を大きく超えた場所へと相手をいざなう。企業のリーダーの中で、スターバックスのハワード・シュルツ元会長ほどストーリーテリングの技術を極めた人は、なかなかいないだろう。

シュルツがスターバックスでのキャリアに終止符を打ち、会長としての地位を退くと同時に、彼のストーリーは一周して始まりの場所に戻ってきた。その場所とは、イタリア・ミラノだ。シュルツは同市でのイタリア初の「スターバックス・リザーブ・ロースタリー」開店を、自身のキャリアを締めくくるのにふさわしい「マイルストーン的瞬間」だとした。

シュルツがミラノで得た体験は、今やスターバックス伝説の一部となっている。皆さんもご存知のことだろうが、物語は次のように始まる。

昔々、シアトルの企業役員が、ミラノを訪れて、現地のコーヒー文化に魅了された。彼はその文化を「コーヒーが作り出せる味とロマンスとショーマンシップが織りなすシンフォニー」と説明した。米国でも同じ文化を作れる可能性を見た彼は「職場と自宅の間のサードプレース(第3の場所)」を作り出すというアイデアを胸に、シアトルに戻った。

もちろん、他のどんな良い物語と同じく、このストーリーにも障壁がある。共同経営者らは、彼と同じ夢を見ていなかった。共同経営者たちが望んでいたのは、コーヒーの豆と機材を売ることだけだった。打ちのめされた彼は、会社を辞めて自分のビジョンを実現したコンセプト店を立ち上げた。それから2年後、彼は以前勤めていた会社を元共同経営者らから買収し、それを現在私たちが知るスターバックスに育て上げた。

このミラノの物語は、ブランドを定義するシグネチャーストーリー(特徴的な物語)の素晴らしい例だ。デービッド・アーカー教授(経営学)とジェニファー・アーカー教授(マーケティング学)は、シグネチャーストーリーを「興味深く、真正で、人を引き込み、ブランドや顧客関係、組織、事業戦略を向上させる戦略的メッセージを持つストーリー」と定義している。

編集=遠藤宗生

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