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2018.09.23

プラ製ストロー廃止の動き、エコ素材に特化の米企業の追い風に

(c)REPURPOSE, INC.

プラスチック製のストローの使用禁止に向けた動きが全米に広がっていることは、ローレン・グロッパーにとっては良い知らせだ。グロッパーは植物性の素材だけを使い、堆肥にできるテーブルウェアを生産・販売するリパーパス(Repurpose)の共同創業者だ。

同社が手掛けるのは、プラスチック製の食器などとは異なり、業務用コンポスターなら約6カ月で堆肥にできる製品だ。埋め立てごみとして廃棄した場合でも、最終的には二酸化炭素と水だけに分解される。毒素や有害物質が土壌や地下水を汚染することはない。

建築を学んだグロッパーは卒業後、持続可能な建築プロジェクトに関わるコンサルタントとして働いた。その仕事でテレビ番組などにも出演するようになった彼女は、セットで日々どれほど大量のプラスチック製品が使用されているかに気づき、そうした製品を巡る問題は悪化する一方だと考えるようになった。

グロッパーがリパーパスの共同創業者であるブライアン・チュンと知り合った2009年、チュンの家族は台湾ですでに、植物性の素材を使った製品を生産していた。それを知った彼女は、「なぜ世界中がこうした素材の使用に切り替えないのだろうか」「なぜ使い捨て製品を作るために、地中から石油を掘り出しているのだろうか」と疑問に感じたという。

グロッパーはチュンをはじめとするチームのメンバーらとともに、翌2010年にリパーパスを設立。「すでに市場にある製品の中から堆肥にできる素材で作れるものを探し、より良いソリューションを提供する」というシンプルなコンセプトに基づき、ビジネスを行ってきた。

市場のトレンドを先取り

スターバックスやウォルト・ディズニーなどの企業は今年7月、プラスチック製の使い捨てストローの使用を段階的に廃止する方針を発表したが、リパーパスはすでに1年以上前から、堆肥にできる新素材を使ったストローの開発に着手。今年5月に発売している。

同社の新製品は従来のプラスチック製のストローと同じように、飲み物が熱くても冷たくても使用可能だ。また、化学物質を含む接着剤を使用していないことから、有害物質を出すことなく分解される。

単純なもののように見えるストローだが、グロッパーらは発売した最終版に至るまでに、6種類ものプロトタイプを作っている。さまざまな有機物の組み合わせて試し、使用中に強度が失われることがなく、折り曲げられるだけの柔軟性があり、優れたユーザー体験を提供できる製品を目指した。選んだのは、トウモロコシをベースにした素材だ。

発売以降、同社はすでに3000ケース以上を販売した。20箱で1ケースあることから、およそ4カ月の間に6万箱を販売したことになる。ストロー50本入りの1箱の希望小売価格は2.79ドル(約315円)。これまでにリパーパスが手掛けた中で、発売当初からの売れ行きが最も良い商品となっている。

同社はこれについて、プラスチック製ストローが環境に及ぼす影響に対する消費者意識の高まりが追い風になっていると考えている。グロッパーはこうした現在の状況について、「私たちが生まれてからこれまでに使ったプラスチック製品は全て、今も地球上に残っている」「多くの人がそれを認識し始めたのだ」と述べている。

編集=木内涼子

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