メイ英首相はチャーチルに学べ? ブレグジットに望まれる方針転換

テリーザ・メイ首相(Photo by Peter Nicholls - WPA Pool / Getty Images)


「カリフォルニア州の独立」と類似?

EU離脱の愚かさは、誇張してもしきれない。英国は物理的にも経済的にも、米国のカリフォルニア州より小さいのだ。例えば同州が米国から独立し、連邦政府には同州から税金が納められなくなると考えてみてほしい。

米国が同州に侵攻することはないとしても、独立後も“クラブ”の一員として多くの利益を享受することにはなる(米国の軍や核の傘に守られる)として、関税を課すことになるだろう。国内のその他の州は、関税を徴収するためカリフォルニア州に対し、“州境を封鎖”することになる。

人々はカリフォルニア人になるか、米国人になるかを選択しなくてはならない。そうなれば当然ながら、同州はその他の州に対する自衛のための手段を講じなくてはならない。つまり、自前の陸海空軍を設立し、宇宙旅団を編成する必要がある。また、米国の怒りを買うことを恐れる他国と、同州が貿易協定を結ぶことは難しいだろう。

カリフォルニア州の独立を訴える人たちはきっと、「植民地支配を終わらせろ!」というスローガンを掲げるだろう。ブレグジットを支持した元ロンドン市長で前外務大臣でもあるボリス・ジョンソンも、同じことを訴えていた。確かにジョンソンも主張したとおり、英国はEUの“植民地”になった。だが、それはその他のEU加盟国も同じだ。そして、植民地であることのメリットもある。

重要な点は、英国はもはやかつての大英帝国ではないということだ。小国となった英国の国内総生産(GDP)が世界全体に占める割合は、3%にも満たない。世紀の終わりまでには、1%程度にまで減少するだろう。

現在はロンドンのGDPが、世界全体のおよそ1%に当たる。経済規模を縮小させていく中で英国が今後、自国に関する決定権を維持したいとさらに主張し続けるのであれば、次はロンドンが英国からの独立を宣言することになるだろう。

編集=木内涼子

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