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2018.09.21

アップル傘下のビーツが「革新的」新製品を生まない理由

Beats by Dr. Dre(Photo by Andrew Burton/Getty Images)

「Beats by Dr. Dre(ビーツ・バイ・ドクタードレ)」はほぼ間違いなく、世界で最も象徴的なオーディオブランドだ。その成功はヒップホップ文化の人気の上に築かれ、アップルに買収されたことによって、さらに新たな勢いを得た。

ただし、アップルはその後、ビーツ製品のアップデートをそれほど頻繁に行っていない。先ごろ開催した秋のイベントでも、ビーツについては言及することもなかった。アップルは今後、ビーツを置き去りにするつもりなのだろうか?

アップルとビーツの関係

アップルは自社のヘッドフォンと競合他社の製品を差別化するために、黒人文化を取り入れる必要があった。2014年におよそ30億ドル(約3380億円)でビーツを買収したのはそのためだ。だが、それはアップル自身をジレンマに陥れる原因にもになった。無線イヤホンの「AirPods」とビーツの製品は、直接競合するからだ。

ビーツは2016年にネックバンド型でブルートゥース接続のワイヤレスイヤホン、「BeatsX」を発売して以降、革新的なハードウェアを発表していない。ただ、それでもビーツは、ヒップホップアーティストやアスリートたちにとっての定番ブランドだ。調査会社スタティスタによれば、高級ヘッドフォン市場でのビーツのシェアは、50%近くに上る。

また、プロバスケットボール選手のレブロン・ジェームズや、元プロフットボール選手のコリン・キャパニック、テニス選手のセリーナ・ウィリアムズはいずれも、ビーツのブランドアンバサダーだ。

ビーツのヘッドフォンやAirPodsなどを含むアップルの「その他の製品」部門の売上高は今年第3四半期、前年比37%の約37億4000万ドルとなっている。
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編集=木内涼子

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