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(i viewfinder / Shutterstock.com)

アルツハイマー病治療薬などの創薬スタートアップ「Alector(アレクター)」が、大手バイオ・製薬VCなどから1億3300万ドル(約149億円)を調達し、存在感を高めている。

Alectorは南サンフランシスコを本拠に、免疫療法による認知症やがんの治療薬の研究開発を行う企業。2013年に創業の同社は7月25日、シリーズEラウンドでAbbVie Ventures、Amgen Ventures、OrbiMed、GV(旧グーグル・ベンチャーズ)、Dementia Discovery Fundを含む17社以上から、1億3300万ドルを調達したと発表した。

製薬大手「アッヴィ」の投資部門であるAbbVie Venturesからは、昨年の10月にも商品化の権利などと引き換えに2億500万ドル(約230億円)の出資を受けており、Alectorがこれまでに調達した資金総額は4億ドルを超える。また、過去の出資者にはメルクやジョンソン・ジョンソン傘下のヤンセン・ファーマをはじめとする製薬大手が名を連ねる。

今回の資金調達に際し、Alectorは開発中の医薬品候補3種を発表。そのうちの2種はアルツハイマーの治療薬で、それぞれTREM2遺伝子とSIGLEC-3遺伝子を標的とする(TREM2とSIGLEC-3の変異はともにアルツハイマーのリスク要因になる)。残りの1つは、前頭側頭型認知症(FTD)と呼ばれる45歳〜64歳の初老期に発症する頻度の高い疾患の治療薬だ。Alectorの共同創業者CEOで医学博士のアーノン・ローゼンタールによると、新たに調達した資金は、これらの医薬品のヒトを用いた臨床試験に使われる。

ローゼンタールはまた、同社の研究コンセプトを「がん治療で取り入れられている免疫療法を、脳の病気に応用することだ」と説明し、「私たちの薬は免疫細胞を活性化、強化することでその機能を高める」と語った。

現在、製薬各社が研究開発しているアルツハイマー病の治療薬は主に、発症の引き金になると考えられているアミロイドβの蓄積やタウの凝集を防ぐことを目的としている。Alectorは従来の研究と人類遺伝学を組み合わせることで、新薬開発の成功率を高める構えだ。

アルツハイマー病協会によると、アメリカには現在約570万人のアルツハイマー病患者がおり、2050年にはその数が約1400万人にまで増えることが予測されている。しかし、根本治療薬はいまだ誕生していない。クリーブランド・クリニックの調査では、2002年から2012年までの10年間にアメリカで行われたアルツハイマー病治療薬の臨床試験の失敗率は99.6%に上る。

ビル・ゲイツも資金提供するアルツハイマー病治療

Alectorのローゼンタールも失敗を経験した一人だ。ローゼンタールは2001年に創業したRinat Neuroscienceを2006年に製薬大手ファイザーに売却し、アミロイドβを攻撃するモノクローナル抗体Ponezumabを開発したが、臨床実験の最終ステージであるフェーズ3には至らなかった。

Alectorの資金調達が行われた今年7月は、他にも二つのアルツハイマー病の研究における大きな動きがあった。17日には、ビル・ゲイツとエスティローダー名誉会長のレナード・ローダーらが、アルツハイマー病早期発見のための検査の開発に3000万ドル(約33.7億円)を提供することを発表。

また、14日から18日までシカゴで開催されたアルツハイマー病協会国際会議ではエーザイとバイオジェンが、共同開発中の「BAN2401」のフェーズ2の18カ月時点における最終分析を発表し、最高量投与群ではプラセボ群との比較で30%の進行抑制が示されたことを発表していた。

編集=海田恭子

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