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2018.09.26

「年功序列」も悪くない? 戦略的な評価制度の定め方

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実際の評価制度の多くは、「職能資格制度」や「職務等級制度」を基準にした設計をしている。それぞれ特徴があるが、たとえば「職能資格」では、過去から蓄積されてきた能力に価値があると考える。だから、「降格」することはない。職務範囲は曖昧になりがちだが、人事異動は柔軟にしやすい。

一方、「職務等級」では、現在のジョブ・サイズを対象に考える。すると、担当業務によって、職務価値が上下することがあるので「降格」も起こり得る。実力重視傾向が強い分、ポストに応じた成果発揮が求められる。

仮に前者から後者に制度変更をしたとしよう。「職務等級」にした以上、評価で見るのは「現在の職務への貢献度」だ。以前には評価に「保有能力」が含まれていたが、今後は発揮されないと評価されなくなる。そこを棲み分けて評価することで、「あ、今年から当社はしっかり能力発揮をするところが重視されるんだ」と従業員が認識する。すると行動が変わり、その行動が風土形成に影響する。

制度が個人に影響し、のちに風土となる

何らかの評価制度を導入したとき、第一にその制度自体がメッセージとして伝わり、個々人の行動に影響する。そして第二に、実際にどの「事実・行動」が評価されたのかが、個々人の行動を加速させる。結果的にこうした行動の積み重ねが、組織風土を強化、あるいは塗り替えていくことになる。

一方、評価における完璧な調和を作る事が、後に逸材となる、いわば「出る杭」を伸ばす自由な風土作りと逆行する事もある。個人的に考える理想は、「出る杭を伸ばす」「戦略的な不調和」を、戦略人事を駆使しながら、いかに評価制度や風土に落とし込めるかがポイントであろう。

制度改定は組織の根幹に影響する力を持つと認識したうえで、自社にあった制度をつくっていってほしい。

連載 : 人事2.0 ──HRが作る会社のデザイン
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文=堀尾司

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