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左から 山崎大輔、古川健介、森岡康一

“中心のないポータル”の構築を目指す─そう高らかに宣言し、2014年10月に始動したSupershipの「Syn.」構想。その4年後、この構想はひっそりと幕を閉じた。創業メンバーがその舞台裏を明かす。


「まぁ失敗だったんじゃないですかね。サービスを終了したわけですから……」

2018年7月9日、ひっそりと全サービスの終了が発表された「Syn.(シンドット)」構想。終了した事実について、どう受け止めているのか。インターネット界隈で“けんすう”というあだ名で知られている古川健介に尋ねてみると、冒頭のような答えが返ってきた。

創業メンバーとして「Syn.」構想の立ち上げから関わった当事者であるはずの古川だが、発言の内容はどこか他人事のように感じる。彼はなぜ、この発言をしたのか。その真意を探る前に、そもそも「Syn.」構想とは何だったのか。まずはその歴史を振り返りたい。

遡ること4年前。14年10月、KDDIの発表会で壇上に立っていたのは前年9月までフェイスブック ジャパンの副代表を務めていた森岡康一だった。壇上で森岡は、自分の思いをこう語っていた。

「今日発表するのは、スマートフォンの価値を倍増させる計画です。餅は餅屋、風呂は風呂屋らしく、それぞれのサービス、アプリがゆるくつながり合う“中心のないポータルサイト”の提供を始めます」

その“ポータルサイト”こそが「Syn.」構想だった。森岡曰く、250万個ほど存在するスマホアプリの中で、スマートフォンにインストールされているアプリの数は38個。さらに日常的に使われているものに絞ると8個にまで減るという。

「ほとんどのアプリが使われていないために、こんなに面白いインターネットの世界の大部分はユーザーに知られていない。そんな状況を変えたかった」

森岡はフェイスブック ジャパン在籍時から、スマートフォン時代のインターネットのあり方について模索を続けていた。そんな彼に声をかけたのが、当時、KDDIの副社長(現社長)を務めていた髙橋誠だった。

「ヤフーのような仕掛けをスマホでつくってほしい」

髙橋は森岡への期待をこう語ったという。

森岡自身、「日本のモバイルインターネットを変えるには、通信キャリア側からしっかりとつくり上げていく必要があるのではないか」と考えていたこともあり、この話は願ってもないチャンスだった。一度会って話を聞き、入社を決意した。

KDDIに入社すると、ヒカリエの一室にひとり籠り、アイデアを練った。3週間後、事業計画書に落とし込み、髙橋に提案した。そこには「3年で100億円の利益を生み出す」という文字も書かれていた。「もちろん、不安もありました。どうなるのかと思ったのですが、髙橋さんからは『面白いね』と言ってもらえて。その一言だけでしたが、ホッとしたのを覚えています」

髙橋だけではなく、当時KDDI社長(現会長)を務めていた田中孝司をはじめ、反対する役員はいなかった。確信を得た森岡は、すぐさま仲間集めに奔走した。

髙橋の人脈を使いながら、まず初めに声をかけたのが当時、生活のハウツーサイト「nanapi」を運営していた古川だった。

文=田中嘉人 写真=小田駿一

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