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「木香庵」の家主、成田聖子

Airdropでファイルを送信し、フェイスブックで小まめに近況をアップデートする。海外に行けばウーバーやLyftを使い、移動する。スマートフォンにはいろんなアプリがインストールされていて、当然のようにすべてのアプリを使いこなす。

若者に負けず劣らずデジタル機器を使いこなす、アクティブシニアが福岡県にいる。地下鉄七隈線「六本松駅」から徒歩5分ほどの場所にある「木香庵」で暮らす成田聖子(82)だ。

iPhoneを当たり前のように使いこなす彼女の姿もユニークだが、何よりユニークなのが「Airbnbが生み出しているシェアの価値」を2000年くらいから予想していたことにある。

成田はAirbnbが日本でもサービスを開始した2013年にすぐ登録し、「木香庵」の一部のスペースを貸し出したり、イベントで使ったりしていた。


木香庵にある一部屋

「2000年くらいから、家をシェアすることは価値のあることだと思っていましたし、将来、日本に必ず必要なものだと思っていました」

彼女はシェアのどこに価値を見出したのか。彼女に話を伺った。

夫たちが育てた家を、守りたい

この家はもともと、代々建築士をやってきた夫の家系のもの。30年前に夫が亡くなって、私のものになった。私も一級建築士免許をもっていて、この家を守ってきたんです。

夫が亡くなったとき、ちょうど新しく作業場ができた頃で。税務署に申告したら、すごい額の相続税を支払えと言われてしまった。だから当時は、建設業を閉じるのを目標に働いていました。でも、たくさんの相続税と、2年先まで工事の予定が入っているのと、いままで関わった家のアフターケアがあって、仕事を閉じたくても、閉じられなかったんです。

八方塞がりの状況になり、心機一転で向かったアメリカで、九州電力の社員向けに福利厚生施設を手がけている女社長と出会って。そこで彼女から「ぜひとも仕事をお願いしたい」と言われました。たしかに半端な男性社長だったら逃げ出すくらい大変な仕事でしたが、とにかく食らいついて。そこから10年間ずっと仕事をもらって、10年かけて相続税を払うことができました。



それからは積水ホームの関連会社でも働いたけど、自分の使命は、夫の父から受け継いだこの家を守ること。うちには机で使っている板のほかにも、ヒノキやケヤキの一枚板もある。

うちは娘も孫も建築士だけど、血筋は気にしない。その価値がきちんとわかる人に、この家を継いでもらいたいと思っています。

文=野口直希 写真=小田駿一

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