ビジネス

2018.09.20

投資家マインドでメディア業界を切り開く「ケーブルテレビ王」

「メディアコム」創業者兼CEO ロッコ・コミッソ

「実業界でオレほど成功したイタリア移民はいないだろう」

そう息巻くのは、米ケーブルテレビ・通信企業「メディアコム」のロッコ・コミッソCEO(68)だ。12歳でイタリア移民として渡米した彼は、自ら立ち上げたメディアコムを推定43億ドル(約4800億円)の企業価値を持つ会社に育て上げた。

コロンビア大学を卒業後、銀行でケーブルテレビ会社向けの融資を担当していたコミッソは、“投資家”のような先見の明で成功をつかんできた。

料金体系を規制し、競争を高める連邦法が制定されたことでケーブルテレビ業界がパニックに陥るや、コミッソは起業して次々と関連会社を安価で買収。同時に通信事業への投資を進めることで、競合を引き離しにかかったのだ。しかも、その一手がネット配信時代の到来で失うことになるケーブルテレビ視聴者を、ブロードバンド利用者として引きとめることにつながった。

時流を読む力に長けたコミッソは今、自社の売却を考えている。

「バフェットとは違うからね。もうオレは十分に満足したよ」


ロッコ・コミッソ◎12歳でイタリアからアメリカへ移住した後、アコーディオンの手腕を評価されて名門中高一貫校へ推薦入学。コロンビア大学でMBAを取得後、チェース・マンハッタン銀行(現在のJPモルガン・チェース)、カナダロイヤル銀行を経て、メディアコムを立ち上げた。大学時代はサッカー部の主将を務め、米五輪代表チームの候補になった経験も。

文=ノア・カーシュ 写真=フランコ・ボクト

この記事は 「Forbes JAPAN 100通りの「転身」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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