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2018.09.18

米百貨店「ヘンリべンデル」が123年の歴史に幕を引く理由

(Photo by Craig Barritt/Getty Images for Henri Bendel)

白と茶色のストライプのショッピングバッグで知られる米百貨店、「ヘンリベンデル」が先ごろ、ニューヨークの5番街にある旗艦店を含め国内の全23店舗を来年1月に閉鎖すると発表した。オンライン販売も終了する予定だ。

ヘンリベンデルを運営する米Lブランズのレスリー・ウェクスナー会長兼最高経営責任(CEO)は、「より規模が大きく成長の可能性が高いブランド」に焦点を絞り、収益性を改善したい考えを明らかにしている。

Lブランズ傘下のブランドで最も規模が大きいのは、業績の低迷に苦しむランジェリーブランドの「ヴィクトリアズ・シークレット(VS)」だ。だが、ヘンリベンデルの閉鎖は、約1200店舗を展開するVSだけが原因ではない。

より若い年齢層向けの下着ブランドで、一時は高い人気を得た「ピンク」も需要の減少に直面している。そして、ヘンリベンデルも同様に、赤字が続いている。Lブランズによれば、ヘンリベンデルの今年の売上高と営業損失(店舗閉鎖に伴うコストを除く)はそれぞれ、8500万ドル(約95億円)、4500万ドルと予想されている。

消費者の変化が主因

ヘンリベンデルの業績低迷と閉鎖は、小売市場の中心がオンライン販売に移行するなか、高級小売店の実店舗が課題に直面していることを反映している。また、ファッションよりもiPhoneやその他のガジェットにお金を使うようになっている消費者の好みの変化も、実店舗にとっては逆風だ。

英調査会社ユーロモニターによると、米国の高級百貨店の売上高は、2012~昨年までの間に23%減少。昨年はおよそ50億ドルになった。一方ではオンライン・ショッピングモールを運営する英ファーフェッチが先ごろ、ニューヨーク証券取引所での新規株式公開(IPO)を申請している。
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編集=木内涼子

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