意外な食べ物の組み合わせ、なぜ流行? 神経科学が出した答え

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予想と期待値のレベルは人によって違うため、ある食べ物の組み合わせがどのように受け止められるかについての法則は存在しない。だが、一部の組み合わせが特に人気な理由を一般的に説明できる仮説はある。グーマンは次のように述べた。

「『同じ羽毛の鳥は集まる』と『正反対の人が引かれ合う』と同じ。脳がなじみのあるものを欲しているときもあれば、新しいものを望んでいるときもある。しかし、脳が本当に好きなのは、どちらも含む完璧な組み合わせだ。複数の感覚を組み合わせた体験のように、よくあるものと新しいものの魔法の組み合わせは存在しない。コツは、新しいものの量を、なじみのあるものとのバランスが取れないほどまでの嫌悪感や衝撃、反感を感じるレベルまで盛り込み過ぎないこと」

近年、特定の食べ物の組み合わせが特に人気を集めている。ジョンソンとグーマンによると、クロワッサンとドーナツを融合させたクロナッツのようなものが人気になるのは、その組み合わせの奇妙さが、2つの食材の親しみ深さとうまく調和したからだ。

すしとブリトーを組み合わせた「スシリトー(Sushiritto)」や「韓国風タコス」も、バランスの取れた斬新さを持っている。一方、ウイスキーとビールの組み合わせは「よくある液体と個体のペアリングではなく、2つの液体を組み合わせることで新鮮さを倍増させている」とグーマンは述べた。

ワインとステーキや、すしと日本酒のような永遠に愛される組み合わせとは違い、一世を風靡(ふうび)したクロナッツの流行は既に賞味期限を迎えている。しかし、この一度限りの一大トレンドから学べることはある。ジョンソンは次のように述べた。

「ミクロのレベルで見ると、特定の食べ物のペアリング(特に実験的なもの)は、現れては消えていく。しかしマクロのレベルで見ると、概念としての食べ物のペアリングはこれからも続く。その理由は、人間の脳が斬新さと親しみ深さの間の『安全な真新しさ』を非常に好むことにある。ある食べ物の裏にある新しさは味わった瞬間に過ぎ去るが、新しさを求める旅は終わらない。これは人間の脳に刻み込まれているものだ」

編集=遠藤宗生

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