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I write about interesting Chinese companies

(Justin Sullivan / by Getty Images)

アップルが先日発表した新型iPhoneには、中国市場向けにデュアルSIMカードに対応するモデルが用意された。中国と香港、マカオで販売されるiPhone XS MaxとXRは、2枚のSIMカードを挿入可能になっている。

一方で、その他の諸国で販売されるiPhone XS MaxとXRは、従来のSIMカードに加え、eSIMにも対応している。アップルが国によって異なる端末をリリースするのは今回が初めてだ。

中国国営の新華社通信は、「アップルは中国に対し特別な配慮を行い、売上の増加を狙っている。アップルは中国市場の特性やルールに従う姿勢を見せている」と述べた。

現地のアナリストによると、中国政府はeSIMカードが政府による国民の監視の妨げになることを危惧していたという。中国でSIMカードを購入する際は、店頭で国民カードを提示し、本名と国民IDを開示することが義務づけられている。eSIMカードの場合は、この認証プロセスを回避することが可能になり、国民が偽のIDで通信を行う懸念があるという。アップルはこの件について、正式なコメントを出していない。

アップルは中国市場においてファーウェイなどの現地ブランドとの戦いに苦戦しており、アップルよりも安価で高機能なデバイスが支持を高めている。ファーウェイはトリプルカメラを備えたフラッグシップ端末、「P20」シリーズを中国で495ドル程度の価格で発売した。OPPOの最新モデル「Find X」は、ノッチのない完全なベゼルレス仕様を750ドルで実現した。

これに対し、アップルの最新端末の価格は中国で、950〜1400ドル程度になると見込まれており、これまでで最も高価な端末になる。「アップルの端末は、値段が高い割に性能面では中国製のアンドロイド端末に劣っている」と、調査企業カナリスのJia Moは話した。

アップルはここ数年、中国でのシェアを落としている。2018年第2四半期の、中国市場でのアップルのシェアは、前年同期の7.1%から6.4%に落ちた。その同時期に、ファーウェイのシェアは過去最高の27%を記録していた。

ただし、世界全体でのアップルの売上は、ハイエンド市場に注力した結果、今年第3四半期に533億ドル(約5兆9700億円)に達し、前年同期比で17%の上昇となった。「アップルはハイエンド市場での競争の高まりを認識しており、さらに高価な端末を投入する戦略に出た」と調査企業ガートナーのCK Luは話した。

一方で、アップルが中国で抱える最大の不安要因は、米中の貿易摩擦が激化する懸念だ。中国の国営メディアは、アップルが今後、中国の愛国者たちの反発をくらう可能性について論じている。また、ドナルド・トランプ政権が中国製品への関税を引き上げた場合、アップル製品の製造コストが上昇することも考えられる。

「米国政府による関税引き上げは、アップルに重大な脅威をもたらすことになる。中国の市場環境も、アップルにとって決して先行きを楽観できるものではない」とカナリスのJiaは述べた。

編集=上田裕資

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