革新を繰り返し、時代に合わせて新たな価値をもたらす日本の伝統工芸。京都から世界に新しい西陣織を発信する細尾真孝と「BMW 7シリーズ」を重ねると、時を超えて追求し続けた「美」と「継承」というキーワードが浮かんできた。
「端的に言うと、そこに美しさを感じたから」。そう語るのは、1688年に創業した西陣織の老舗、細尾の12代目、細尾真孝さん。視線の先には静かに佇む、「BMW 740i DRIVER’S EDITION」の姿がある。
300年を超え、西陣織という伝統工芸の新たな市場を模索し続けてきた細尾は、2017年、京都の烏丸二条に会員制の宿泊施設「HOSOO RESIDENCE」をオープンさせた。築100年以上の京町家を伝統的な左官技術などで仕上げた趣あるリノベーション建築が提供してくれるのは、行き届いた、ラグジュアリーな宿泊体験だけではない。この空間は、京都のさまざまな文化に触れる拠点としての役目も備えている。この地に伝わる文化の背景や文脈に触れる入り口となることを目指し、HOSOO RESIDENCEは日々、選ばれし宿泊客を招き入れるのだ。
京都には、長い歴史を経て培われてきた伝統工芸などの工房や寺院、茶室や庭など、日本の伝統が、密接に関わり合いながら、今なお営みを続ける。HOSOO RESIDENCEでは、単なる観光や安息の時間に加え、特別な体験を味わえる。文化を堪能するためのここにしかない特別なもてなしとして、2つのサービスが用意されている。
そのひとつが、京都の文化に精通し、より深くへと誘ってくれる専属コンシェルジュ。もうひとつが、宿泊客が文化拠点を行き来するための専属ドライバーの存在だ。京都文化のナビゲーターとして、ドライバーがステアリングを操るのはBMW7シリーズ。さまざまな車種、モデルを検討した結果、12代目自ら選んだ1台だという。
2017年にオープンした、築100年以上の京町家をリノベーションした会員制宿泊施設「HOSOO RESIDENCE」。専属ドライバーによる運転で、拠点と拠点の移動に使われるナビゲーターは、シートに細尾の西陣織を設えた特別仕様の7シリーズ。専属コンシェルジュと合わせて、工房や寺院、茶室や庭など、京都のあらゆる文化へと深く誘ってくれる。
「美しさに加え、7シリーズのエクステリアデザインの根底に感じたのは、長く続いてきた文化や歴史に対するリスペクト。過去に敬意を払いながら、イノベーションによってさらなる未来へと継承していく。そんな意思が、上品で控えめな佇まいに表れています」と細尾さんは言う。
1977年に初代がデビューして以来、進化を続けてきた7シリーズ。最新のモデルでは、フロントのキドニー・グリルがより低くワイドになり、リアの左右のライトをつなぐクロームのラインと相まって、ラグジュアリー・セダンにふさわしい存在感を醸し出す。伝統的な意匠を取り入れながら刷新し続ける美しさは、一朝一夕に築けるものではない。
左/細尾さんが目をやるのは、水平方向に伸びたクロームのライン。左右のリアライトをつなぐ大胆な意匠が、ゆとりあるボディを強調。7シリーズ特有のクラス感を演出する。右/BMWの象徴であるキドニー・グリルも、ロー&ワイドにブラッシュアップ。グリル下部には、3分割されたエアインテークをフロントエプロンに沿って配置した。存在感のあるリアとフロントが、サイドのショルダーラインや流麗な面表現によって融合し、ひとつの彫刻作品のような美しさを醸し出す。
西陣織が1200年以上にわたり、そして細尾が創業以来追求してきたのもまた、美しさにほかならない。近年、細尾の西陣織は、世界100都市以上のクリスチャン・ディオールの店舗に内装を彩るファブリックとして取り入れられるなど、名だたるラグジュアリー・ブランドから唯一無二の評価を勝ち得ている。
インテリアやファッション、プロダクトと、さまざまな領域に進出できたのは、細尾独自開発による織機が織りなす、幅150cmの西陣織があるからだ。通常の西陣織の織り幅は、着物の帯幅である32cm。しかしこれでは、家具に用いるためには生地同士を縫うなどして合わせる必要があるため、用途が限られていた。150cm幅なら壁面や家具に使いやすいのだ。さらに和柄であることのこだわりを取り払うなど、美を現代に順応させるため、細尾は自らの殻を打ち破ってきた。
西陣織の可能性と課題に気付いたのは、2006年、パリで開催された見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展したのがきっかけだ。以降、海外出展を続け、伝統工芸を俯瞰して見つめ直したからこそ、課題が浮き彫りになり克服に踏み出せた。さまざまな用途に使える「素材」として売り出すことで開けた新市場が、世界のラグジュアリー・マーケットだったというわけだ。
細尾は、伝統の継承と革新が求められる伝統工芸のただ中にありながら、HOSOO RESIDENCEや世界に1台きりの織機開発など、たゆまぬ挑戦を続ける。それは、西陣織を未来に継承するためだという。西陣織は、箔ひとつとっても切ると貼るでは職人が異なるほど分業化されている。
確かな技を持つ20ものクラフトマスターの手を渡ってきたことが、西陣織を今日の存在に至らしめてきた。つまり、西陣織を未来に継承するには、周辺の文化、生態系ごと継承する必要がある。細尾が挑戦を続け、西陣織の新市場を求める最大の理由がここにある。
町家の前に停まる7シリーズについて「ドライバーとともに待機している待ち姿さえ美しい。この場所にふさわしい品格がある」と語る細尾さん。両者に共通する歴史に裏打ちされた美しさは、和と洋の垣根を超え、見事な調和を成している。
BMW 740i DRIVER’S EDITION「740i M SPORT」をベースに、陰影を際立てる特別色「シンガポール・グレー」や、Mモデルのエンブレムとストライプを配したブラック・ダコタ・レザー・シートなどの特別仕様を用意したラグジュアリー・セダン。全長5110×全幅1900×全高1480mm。2997cc直列6気筒DOHCエンジン。車両本体価格12,320,000円。
ほそお・まさたか◎細尾常務取締役。マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ・ディレクターズフェロー。1978年西陣織の老舗、細尾家に生まれる。大学卒業後、音楽活動やジュエリーメーカーを経て2008年細尾入社。手がけた西陣織がクリスチャン・ディオールの店舗内装を飾ったことを機に、活動領域を広げる。
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