Close

PICK UP

世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

ミスルトウ投資部ディレクター 鈴木絵里子

目まぐるしいスピードで変化し、複雑化する世界。数年前に思い描いた自分の将来像もあっという間に時代遅れになる。自らの本質へと近づく転身とは何か──。


欧米のミレニアル世代は、自分のことを「エクストラ」と表現するという。スペシャル(特別)のさらに上、特上という意味だ。あるがままの自分を愛すことは自信となりアクションを起こす一歩となる。 

32歳の鈴木絵里子は、孫泰蔵率いる社会課題解決をミッションに掲げるVC、ミスルトウの投資部ディレクターを務め、2児の母でもある。今年4月に、自分の体験から日本の女性たちへのメッセージを込めた『これからは生き方が働き方になっていく』を出版した。 

記事の取材テーマが転身だと伝えると、「私は失敗ばかり。失敗ばかりだから転身も怖くないんです」と笑う。素直な物言いも、自己肯定感からくるのかもしれない。 

鈴木はカナダのマギル大学で経済学と国際開発学を専攻した後、モルガン・スタンレー、UBS証券、COACH、ドローンのスタートアップから現職へと2、3年で転職を繰り返してきた。 

銀行員の父の転勤で、幼少期からアメリカやカナダ、中東で過ごした。大学は「費用を自分で賄う」という父の方針のもと、奨学金を得てカナダの大学に進学。将来は世界銀行で働き、地球規模の社会課題の解決に貢献したいと思っていた。 

強い挫折を経験したのは、ケニアでのインターンシップ。マイクロファイナンスのNGOで4カ月間働いた。バイクに乗って田舎の家を一軒一軒回った。「夜逃げされたとか、盗難にあったとか、調査してデータを集める作業です。インターンで仕事はできず、お荷物でしたね」。 

鈴木はその合間を縫ってストリートチルドレンのための施設をつくるプロジェクトを近所の住民らと立ち上げた。ボトムアップで問題解決するビジネスの可能性を感じたのはこの時だ。

「持続可能な支援は、ビジネスを生み出し、雇用を創造する必要があると痛感しました。いつかボトムアップで社会起業したい。でも今はビジネスについて学ばないといけないと思うようになりました」 

卒後は金融機関に入社。資本市場部などで活躍した。長時間労働が当然の職場で、妊娠と出産を経験。ハードだからこそやりがいも感じたものの、子育てと仕事の両立は困難だった。ゆるやかなペースで働けるCOACHへ転職したが、「社会課題の解決」という目標から遠ざかっていることにモヤモヤを募らせた。

ミスルトウ投資部ディレクターになった今、夢だった社会課題を解決するビジネスに携わっている。

「私は好奇心旺盛なタイプです。一つのスタートアップにコミットするより、たくさんの方と関われて、様々な業界を見られる今が天職だと思っています」

鈴木は著書で、仕事とプライベートが自然とつながる生き方(働き方)を説く。「何度でも失敗して試せばいい。リスクは立ち止まること。まずは走ってみることです」

鈴木絵里子の転機

・ケニアでのインターンシップ。自分の無力さを知るとともに、ボトムアップのビジネスに興味を持つようになる。
・ミスルトウへの転職。長年の夢だった社会課題を解決するビジネスに携われるようになり、天職を見つける。


鈴木絵里子◎1986年生まれ。ミスルトウ投資部ディレクター。アメリカや中東で育ち、カナダのマギル大学卒。モルガン・スタンレー、UBS証券、COACH、米ドローンベンチャーの日本法人を経て、2016年より現職。

文=フォーブスジャパン編集部、飯島裕子 写真=小田駿一

記事が気に入ったら
いいね!しよう

LIKE @Forbesjapan

Forbesjapanを
フォローしよう

FOLLOW @Forbesjapan

あなたにおすすめ

合わせて読みたい