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台湾とアジア地域に関するあまり知られていない話題をカバー

(Photo by TPG/Getty Images)

過去7年に渡る業績不振にあえぐ台湾のHTCが、新型スマホ「U12 Life」をリリースしようとしている。U12 Lifeは、HTCの上位機種「U12+」や、昨年発売した「U11 Life」の廉価版的モデルだ。

報道によるとU12 Lifeは中価格帯の端末でありがなら、ハイエンドモデル向け機能をいくつも搭載しているという。しかし、このモデルにHTCの業績を復活させる力はないと業界関係者の多くは考えている。

「U12 Lifeのスペックはありきたりで、競争の激しいミドルレンジ市場で差別化を図れていない。当面の業績を支えることはできるかもしれないが、劇的な回復には至らないだろう」とIDCのKiranjeet Kaurは指摘する。

U12 Lifeにはミドルレンジとハイエンドの機能が混在しており、ニュースサイト「Tech Radar」はパワーや解像度、カメラ機能ではU12 Plusに劣ると報じている。価格は384ドルとハイエンドモデルよりも安いが、ファーウェイやシャオミなど中国メーカーの、同等の端末よりは高い設定だ。

英国の調査会社「Strategy Analytics 」のNeil Mawstonも、バッテリーサイズは大きめでデュアルカメラを搭載しており、背面には滑り止め加工がされているが、競合製品との差別化には不十分だと指摘する。「他のAndroid端末から際立たせる機能がほとんどなく、店舗に並ぶ数多くの端末の中に埋もれてしまうだろう」とMawstonは話す。

シャオミの「Pocophone F1」をはじめ、競合モデルの多くもハイエンドモデル向け機能を搭載しながら、低価格になっておりHTCにとっては厳しい競争になることが予想される。

ミドルレンジ市場でこうしたトレンドが加速している要因の一つが、チップメーカーの存在だ。例えば、「MediaTek」は最高水準の速度を持ったチップセットを割安な価格で提供している。

調査会社「Canalys 」のアナリストのMo Jiaは「HTCが輝きを取り戻したいのであれば、現状の製品戦略と価格戦略を真剣に見直す必要がある」と指摘する。HTCは、7月に製造部門の従業員1500人を解雇すると発表した。これは、全社員の5分の1に相当する人数だ。

HTCは2017年に169億台湾ドル(約610億円)の損失を計上し、3年連続で赤字となった。今年の第1四半期には52億台湾ドルの営業損失を計上している。IDCによると、ピーク時には10.7%だった世界のスマホ市場におけるHTCのシェアは、現在1%程度まで低落しているという。

HTCの女性会長であるCher Wang(王雪紅)は、製品開発をミドルレンジ市場向けにシフトする方針を打ち出した。ミドルレンジ製品にとって大きな市場なのが中国とインドであり、Wangは海外におけるHTCのイメージ向上とシェア拡大に取り組むと述べている。

Wangは、カメラやVRヘッドマウントディスプレイ「Vive」など、スマホ以外の製品の強化も図っている。「HTCはViveブランドとVR技術に投資をしてきたが、それは良い結果を生み出そうとしている。しかし、スマホ事業については将来の戦略を真剣に考える必要がある」とガートナーのリサーチディレクター、Roberta Cozzaは話した。

編集=上田裕資

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