タバコの葉を燃やすのではなく、ニコチンが含まれる液体を加熱・霧状化して吸引する電子たばこは、米国の現行法の下では発売前にFDAの認可を得る必要がある商品だ。だが、FDAは2016年、2022年までは認可を取得せず発売することを認めた。
そのFDAが9月12日、電子たばこに関するこれまでの方針を撤回する可能性を示唆した。使用が若者たちの間で「まん延」しており、メーカー各社がこの問題の改善に効果的な方法を打ち出すことができなければ、商品の販売を禁止する可能性もあるという。
電子たばこ業界に対して友好的だと見られてきたFDAのスコット・ゴットリーブ長官だが、FDAが同日にウェブサイト上に公開した声明によれば、長官はメーカー各社から裏切られたように感じているもようだ。
「電子たばこ業界に対しては1年以上前から、若者の間で使用が拡大している傾向に歯止めをかけるための対策を大幅に強化する必要があると警告してきた」
「私の考えでは、彼らは電子たばこについて、関連する法的義務について真剣に検討するのではなく、…宣伝活動において課題がある問題のように扱ってきた。そして、リスクは増大してきた」
「喫煙と吸引」を使い分ける生徒たち
FDAは今年6月、独自にまとめた中高校生のたばこ製品の使用に関するデータを公表した。高校生について見てみると、これら製品を使用した経験のある生徒の数は、2011~17年の間におよそ370万人から295万人に減少している。
ただし、電子たばこを使用したことがある中高生の数は210万人近くに上っている。そして、喫煙の経験があるという生徒は約140万人だ。つまり、彼らの多くが状況に応じて、電子たばこと従来のたばこをどちらも使用している可能性があるということだ。こうした結果は、電子たばこが新たな世代のニコチン依存症患者を生み出しているとの懸念を強めることにつながっている。
ゴットリーブ長官の指揮の下、FDAは従来のたばこの依存性を引き下げるため、ニコチン含有量の削減を義務付けることを提案するなどしてきた。ただ、この方針は従来のたばこの喫煙者を、結果としてニコチン含有量が多くなる電子たばこの使用に向かわせることになるとも指摘されている。