原因は「自意識」
研究チームはこの「ずれ」の現象について、心理学的な見地からいくつかの説明を試みている。その一つは、「自分に最も厳しいのは自分」である場合が多いということだ。
私たちはよく、自分が“間違った”ことについて振り、次回はもっとうまくできるようにしようとする。そのため、会話の相手は全く何とも思っていなかったことについても失敗したと感じ、それについて何度も考えている可能性がある。
自分を過小評価するもう一つの理由は、私たちが自分自身に対してはより高い基準を課しているということだ。初めて話す相手との会話について、私たちは自分をひどく低く評価する。そのため相手の私たちに対する見方との間には、はるかに大きな差が生じるとみられる。
研究チームは、「話し手は自分が理想とは程遠い話し方しかできなかったと考えるが、聞き手はもっとひどい話し方をする人もいると思いながら聞いている。自分と他人に対する比較基準の違いが、私たちの多くが自分を過小評価してしまう理由の一つだろう」と述べている。
チームはそのほか、私たちが自分の緊張感や感情について、「相手に完全に伝わっている」と思う場合が多い点を指摘している。だが、それは明らかに事実とは異なる。会話の相手は霊能者ではないのだ。相手が自分に対する評価を気にしていたり、失敗したと心配したりしていることなど、全く気づいていないことがほとんどだという。
この研究結果からみれば、私たちは初対面の人と話をするときにも、もう少しリラックスしてもいいのかもしれない。人は私たちが思うほど批判的ではなく、私たちが考えるよりはるかに寛容だ。