オランダのリベラル派議員、Marietje Schaakeはこの件に関し「最悪の結果になった」と述べた。
今回の指令案でインターネットの自由を求める人々が危険視しているのは、11条と13条だ。11条はサイト上にリンクを貼って外部サイトの内容を表示する場合、権利元へのライセンス料の支払いを求める規定で「リンク税」とも呼ばれているが、ほぼ原案通りの形で可決された。
また、13条はユーザーの投稿を掲載するサイトの運営者に、全ての投稿をデータベースと照合し、著作権侵害が起きていないかをチェックすることを義務づけるものだ。この条項に関しては適用対象を「一定の規模以上のサイト」と修正した上で可決された。
反対派であるドイツの海賊党選出の欧州議会議員ジュリア・レダは、11条に関し「このような法案を制定せずとも、ニュース記事の著作権は既に保護されている。リンク税と呼ばれるこの法案に、我々は反対する」と主張した。しかし、欧州議会はこの規定を設けることにより、コンテンツの権利者らが適正な対価を得られるようになると述べた。
「今回の法改正の目的はEUの市民や研究者、作家、アーティスト、報道機関らに対し、デジタル空間における明確なルールに基づいた権利を与えることにある」と、欧州におけるデジタル単一市場の成立を目指す団体のAndrus Ansipらは声明で述べた。
「新ルールの導入により、言論の自由を守り、7000に及ぶ欧州のオンラインプラットフォームが、新たなビジネスモデルを創出することが可能になる」と彼らは続けた。
今回の新指令案が正式に成立するためには、来年1月の再決議で可決される必要がある。しかし、成立の可能性は非常に高い。さらに厄介なのが、EUの加盟諸国が個別にこの法律を自国のルールに適用していくことになり、その過程で事態がさらに混乱することが予測される。
一方で、この件とは別に9月12日、欧州委員会に提案されたのが、インターネット企業に対しテロリストの投稿を1時間以内に削除することを義務づける法案だ。
「この法案が実現すれば、EU諸国からコメントを書き込み可能なサイトは、24時間体制でサイトを監視することを求められる。これは、とんでもない話だ」と、ドイツ海賊党のジュリア・レダ議員はツイッターに投稿した。