ビジネス

2018.09.12

アリババが世界に示した「優れたガバナンスと事業継承」

ジャック・マー(Photo by Wang HE/Getty Images)


アリババ・パートナーシップ

アリババの長期的な成長に最も強い力を持つのが、「アリババ・パートナーシップ」だ。「パートナーシップの精神を保ち、(同社の)使命とビジョン、価値観を維持する力を維持するため」、経営幹部らによって組織されている。マーは生涯にわたってパートナーの一員であり、今後も同社の方針決定や将来の計画において、他のメンバーらとともに重要な役割を担う。

このパートナー制は、アリババの使命と文化、価値観が個人のレベルを超えて存続していくことを保証するために作られたものだ。同社にとって重要なのが、信頼とコミュニティー、多様性であることがよく分かる。

パートナーたちは毎年、新たなメンバーを迎えるかについての投票を行う。候補者は経験とリーダーシップ、企業文化の“伝道者”であるかという点を基準に既存のパートナーが選び、推薦する。現在のメンバーは、アリババのエコシステムを形成するあらゆる部門に所属する36人。うち33%が女性で、企業の上層部に占める割合としては、比較的高い割合となっている。

また、パートナーは取締役会に対するその役割から、CEOや会長の継承にも重大な役割を果たす。取締役の過半数を(投票によってではなく)指名する権利を持つためだ。

パートナーたちに指名された取締役らが新たに取締役会長を選ぶ際には、その候補者のリーダーシップのスタイルや運営能力、性格について、すでによく知っているということになる。一方、公開企業の大半は継承において、こうした手法を取らない。文化や価値観を重視せずに、人材を探すことも多い。

アリババが明らかに示すのは、ガバナンスと事業継承計画における未来だ。例えばアマゾンやイーベイのCEOに何か起きた場合、誰が後任となるのだろうか。後継者として育てられている幹部の名前を挙げることはできるだろうか?

編集=木内涼子

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