今回の買収はヘルステックの領域で進む統合化の流れの一貫といえる。医療の分野では匿名化されたデータを収集し、アルゴリズムで分析することで、医師たちが適切な診断を下す材料としている。収集するデータが巨大であればあるほど、確度の高い予測がマシンラーニングによりもたらされることになる。
サンフランシスコ本拠のSherbitは、病院向けに患者の生体信号をモニタリングできるアプリのサブスクリプションサービスを提供している。同社のCEOのAlex Senemarによると、彼らが取り扱うデータは血圧や血糖値、Fitbitやアップルのウェアラブルデバイスを用いて取得する歩数や睡眠などのデータだという。
Senemarによると、世界には約50の類似したサービスを手がける企業があり、医療機関向けに生体データを提供している。ロンドンの「uMotif」やニューヨークの「LifeOnKey」などもこの分野のスタートアップだ。
これらの企業の差別化の要因は、いかに優れた分析を行えるかであり、Medopadは専属のAIチームが収集したデータをマシンラーニングで精査し、診療に役立つインサイトを導き出している。
MedopadのCEOのDan Vahdatは「当社のゴールは患者が病気を発症する前に、その兆候を正確に捉えることだ。Sherbitの買収は、今後の米国進出への足がかりとなる」と声明で述べた。
2011年に設立のMedopadはロンドンに本拠を置き、中国の大手保険企業の平安グループとの取り組みで、膨大な医療データを収集した。また、英国の保険サービスNHSとも複数のプロジェクトを行っている。
Medopadは今年の初めに、ニューヨークでジョンソン・エンド・ジョンソンが開設した、インキュベーション施設「JLABs」内にオフィスを開設した。同社は2800万ドルの資金を2018年の初めに調達していた。