カンは、これまで起業家として直面した課題を解決するためにリーガルテック(テクノロジーを用いた法律関連サービス)のスタートアップ「Atrium」を創業した。同社は9月10日、アンドリーセン・ホロウィッツが主導し、Yコンビネータの「Continuity Fund」やSound Ventures、General Catalystなどが参加したラウンドで6500万ドル(約72.5億円)を調達したことを明らかにした。
Atriumは電動スクーターのシェア企業「Bird」や「Alto」、「MessageBird」、「Sift Science」など急成長中のテック系スタートアップを含む250社を顧客に持つ。同社は、顧客企業への弁護士派遣のほか、書類申請の自動化などのリーガルサービスを提供している。Atriumは今回調達した資金を弁護士やエンジニアの採用に充当する予定だ。
「法律への対応はスタートアップにとって大きな障害になっている。弁護士事務所から送られてくる請求書はロシアンルーレットようだ。ビジネスオーナーにとって弁護士費用は税金のようなもので、こうした現状を変えたいと考えた」とカンは話す。
カンは、Yコンビネータを退職した後、2017年中頃にAtriumを立ち上げた。Atriumは、多岐に渡る法律サービスを提供しており、弁護士やビジネスオペレーションの専門家、エンジニアなど多様な人材を抱えている。共同創業者の1人であるAugie Rakowは法律事務所「Orrick」の出身で、GMが自動運転スタートアップの「クルーズ」を買収したディールを担当した。
Atriumはビジネス契約やブロックチェーン、外部弁護士などのサービスを提供している。また、弁護士の稼働時間の多くを占める単純作業を極力自動化することで、より効率的にサービスを提供できるようにしている。
カンのTwitchやYコンビネータでの経験は、資金調達において有利に働いており、昨秋実施した初めてのラウンドでは1050万ドルを調達している。今回のラウンドを機に、アンドリーセン・ホロウィッツのパートナーであるマーク・アンドリーセンとアンドリュー・チェン、そしてYコンビネータのCEOであるマイケル・サイベルが取締役に就任した。