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2018.09.17

反中感情高まる台湾でも好調の「シャオミ」のブランド力

(Photo Illustration by Chesnot/Getty Images)

台湾は、中国のスマホメーカーにとって本国や東南アジアよりも規模が小さく、魅力に乏しい市場だ。しかし、シャオミ(小米)にとっては状況が異なる。台湾では、シャオミ製のスマートフォンや、IoT機器などが人気を博しているのだ。

「シャオミは、スマートホームやIoT機器など、幅広い製品ポートフォリオを武器に台湾市場で他社以上の実績をあげるだろう」と台北の調査会社「Market Intelligence & Consulting Institute 」のEddie Hanは述べている。

北京に本拠を置くシャオミは、2011年からスマホの開発を手掛けている。業界アナリストによると、同社は年内に6店舗を台湾にオープンし、3機種のスマホを投入する予定だ。

最も低価格の「Mi A2」は4000台湾ドル(約1万4500円)だが、新モデルの「Mi 8」は17,000台湾ドル(約6万1700円)と競合他社のAndroid端末と同じ価格帯となっている。

Hanによると、シャオミは7月のIPOで47億ドル(約5240億円)を調達して以来、海外展開を加速させているという。台湾ではこれまでネット販売やキャリアによるディスカウント販売が主流だったが、シャオミや、同じく中国メーカーの「Oppo」は、リアル店舗での販売に力を入れている。特にシャオミはスマホ以外のハードウェアも手掛けており、店舗での紹介に重点を置くことが予想される。

「リアル店舗はシェア拡大を図る上で不可欠であり、シャオミがリアル店舗で先行するOppoの戦略を模倣するのは当然だと言える。シャオミはOppoよりも技術力があり、ブランド力も強い。一方、Oppoは端末の色やカメラ機能で差別化を図っている。その意味で、両者は必ずしも競合していないと言える」とYenは指摘する。

Hanによると、台湾でのシェアはOppoが10%であるのに対し、シャオミは3〜4%だという。Yenは、Oppoが4年前に台湾に進出し、消費者の多くが中国ブランドであることを認知しないままに市場に浸透できた点でシャオミよりも分があると指摘する。

中華経済研究院のリサーチフェローであるWu Hui-lingによると、台湾人の多くはメディアを通じてシャオミが中国ブランドであることを認識しているため、今から国籍を隠すことは難しいという。

世界の市場シェア4位のシャオミ

消費者の一部は、中国製端末には中国政府が盗聴するための部品が仕込まれていることを心配しているという。「実際にそうした部品が含まれているかはわからないが、中国製品は今後ますます敬遠される傾向にある」とWuは話す。

台湾では、中国製品は低品質であるという認識が一般的に浸透しているが、Yenによるとシャオミ製品はそうしたステレオタイプの影響を受けにくいという。それでも、価格が同じであれば台湾ブランドを選ぶ消費者が多いとYenは推測している。

シャオミは、他の市場では品質問題とは無縁だ。台北の調査会社「TrendForce」が8月29日に発表したレポートによると、シャオミの世界での販売シェアは10%となり、世界のスマホメーカーランキングで4位となった。シャオミは、第2四半期に過去最高となる3150万台の端末を販売している。シャオミは、昨年インド市場で2位の座を獲得した。

シャオミはここ数年、利益を上げるのに苦戦している。同社が6月に香港市場に提出した目論見書によると、2017年は439億元の損失、2016年は49万1600元の利益、2015年は75億元の損失を計上している。

編集=上田裕資

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