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Botond Horvath / Shutterstock.com

欧州連合(EU)の最高裁判所である欧州司法裁判所(ECJ)は、2014年にヨーロッパで認められた「忘れられる権利」の適用範囲を、世界に広げられるかどうか検討中だ。

ECJは2014年に「忘れられる権利」を認める判決を下した。これは、グーグルの検索結果に表示される情報が個人にとって「不適切、無関係、もしくは過剰である」とみなされる場合、グーグルに情報の削除を要求できると定めた権利だ。

グーグルはこの判決を受け、EU域内からの検索(ドイツの「Google.de」やフランスの「Google.fr」など)に限定して、検索結果のコントロールを開始。削除要求があった情報へのリンクを外す措置を講じていた。

しかし、当然ながら、欧州に住む人がVPNを用いて米国のグーグルの検索エンジンにアクセスすれば、検閲を受けないオリジナルのデータの閲覧は可能だ。

その後、2015年にフランスのプライバシー当局(CNIL)はグーグルに対し、削除要求のあったリンクについて、全世界の検索結果から削除するよう命令した。グーグルはこれに従わなかったため、罰金11万2000ドル(約1260万円)を課されることとなった。

グーグルの報告によると、同社は2014年以来、約72万件の情報の削除要請を受けており、関連リンクは270万件に及んでいた。グーグルは削除要請の44%に応じていたという。

ECJの今回の動きの背景には4名の人々からの削除依頼があるという。そのなかには、新興宗教団体のメンバーの自殺に関わるリンクや、過去の刑事訴訟に関するもの、児童の性的虐待の有罪判決に関わるリンクなどが含まれている。

ここで問題となるのは、どのような情報が「不適切、無関係、もしくは過剰である」と判断されるかだ。また、その情報に公益性があるかどうかも重要な要素となる。しかし、ECJは削除対象の範囲を定めるのみならず、このルールの適用範囲を世界に広げるかどうかも検討している。判断が下されるのは、2019年以降になる見通しだ。

言論の自由を脅かす可能性

ECJは今後、市民グループからのヒアリングも行う予定で、そのなかにはグーグル側に立つグループも含まれているという。表現の自由を推進する団体「Article 19」の事務局長 を務めるThomas Hughesは次のように述べている。

「忘れられる権利の問題は、世界の言論の自由を脅かす可能性がある。世界のインターネットユーザーたちの検索結果を、欧州の規制当局の判断が左右することがあってはならない」

グーグルはこの件に関して公式な見解は示していないが、昨年11月にグーグルの法務責任者であるケント・ウォーカーは、次のように述べていた。「今回の命令に従うことは、他の政府にも影響を与えかねない。民主的でない政府が、彼らの価値観を市民に押し付けることを促すことになりかねない」

ウォーカーはさらに「これらの判例は、市民らの適法な情報へのアクセスを遮断することにもつながりかねない」と付け加えた。

しかし、ウォーカーのこの発言はグーグルが中国で、中国政府の検閲済みの検索結果を表示するプロジェクト「ドラゴンフライ」を進めていることが、報道される以前のことだったことは指摘しておきたい。

編集=上田裕資

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