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Casimiro PT / shutterstock.com

成功したスタートアップの経営者が大企業から買収提案を受けた場合、とれるオプションは2つに限られる。会社を売るか、提案を断るかだ。

しかし、「欧州のスクエア」と呼ばれるスウェーデンの決済企業「iZettle(アイゼトル)」の創業者でCEOのヤコブ・ドゥ・ゲールは今春、ペイパルから買収提案を受けた際に、第三の道を選んだ。ゲールはその時、iZettleの上場手続きの真っ最中で、11億ドルのIPO評価額を見込んでいた。

その後の1週間で状況は激変した。ペイパルは買収にあたり、ゲールがIPOで手にする金額以上のオプションを提供することもできた。しかし、上場を目前に控えたゲールは、もっと強気な交渉に出たという。

「どこまで強気に出ていいものか、自分でもわからなかったけれど」と、ゲールは先日開催されたフォーブスの「30アンダー30サミット」の場で述べた。

そして、2018年5月にペイパルはiZettleを22億ドル(約2450億円)で買収することを決定した。これは、当初想定していたIPO価格の2倍の金額で、ペイパルにとっても史上最大の買収になった。

「自分たちは1年半もの間、IPOの準備を進めていた。それが、わずか2日ほどの間で状況が変わったんだ」とゲールは話す。

ペイパルの幹部らがゲールの家のドアをノックしたのは、上場目論見書を提出する8日前のことだった。「IPOに向けた計画は完全に固まっていた。でも、どんな場合であれ、物事には変化が訪れるものだ」

ゲールは2010年にiZettleを創業した。「会社を立ち上げた頃は、売却するなんて夢にも思わなかった。なぜなら、自分の夢を実現するためにiZettleをはじめたからだ」

しかし、ペイパルからアプローチを受けた時点で、iZettleは650名規模に成長し、さらなる拡大を目指していた。「ペイパルと提携すれば、自分たちのゴールをもっと早く達成できると考えた。従業員たちにとってもメリットになるし、シリコンバレーへのアクセスを持てることは魅力的だった」とゲールは話す。

ペイパルへの売却を決めたゲールは、少し風変わりなお祝いの儀式を行なった。ガールフレンドとともに農場にピクニックに出かけ、羊たちと戯れながら、ワインを飲んでいる写真をツイッターに投稿したのだ。

ゲールの自宅はストックホルムの郊外にある。「ペイパルと交渉中の期間は、毎日夜中までミーティングを重ね、サンフランシスコにも往復した。契約書にサインしたのが木曜の夜で、翌日も面談がびっしり入っていてクタクタに疲れた。それで、週末に外に出かけて、彼女と乾杯をしているところに、羊たちがやってきたんだ」

「まるで羊たちが、おめでとうと言ってくれているようだった」とゲールは笑顔で話した。

編集=上田裕資

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