「スカイスクレイパー」の見どころは高さ1km超の香港のビル

映画「スカイスクレイパー」のNYプレミアに登場した主演のドウェイン・ジョンソン(Photo by Jim Spellman/WireImage)



(c) Universal Pictures

そびえ立つ超高層ビルに素手で立ち向かうソーヤーの姿は、「ダイ・ハード」の「世界一運の悪い男」ジョン・マクレーンに重なる。マッチョ系のアクション俳優として、ジョンソンは立派にブルース・ウィリスの後を継いでいる。

「スカイスクレイパー」ではもちろん、彼のアクロバティックなアクションシーンもみどころのひとつだ。


(c) Universal Pictures

世界初のハイパービルディングが来年誕生

世界一の超高層ビルとソーヤー一家の運命がどうなるかは映画を観てのお楽しみだが、この「もう1人の主役」でもあるザ・パールをどのようなものにするかについて、製作者側は、脚本づくりの初期段階でブルジュ・ハリファの設計者であるアメリカの建築家エイドリアン・スミスに意見を聞いている。

実は、これほど高いビルに対応する長さのケーブルは存在していないようなのだ。ということで、「900メートル近くを上下するエレベーターは、磁力の技術を活用しなければならないだろう」とエイドリアンからアドバイスされたという。製作者側のディテールへのこだわりがうかがえるエピソードだ。

ザ・パールのデザイン自体は、「E.T.」や「ミッション・インポッシブル」シリーズなどでプロダクション・デザインを担当してきたジェームズ・D・ビゼルによるものだ。「タワーリング・インフェルノ」のビルが、人間たちの思い上がりを象徴するかのように描かれていたのに比べ、このザ・パールは、「壊れない。耐久性がある。回復と力の象徴」としてデザインされたとビゼルは言う。

その意味でも、劇中のザ・パールと名づけられた超高層ビルは、けっして旧約聖書に記された「バベルの塔」ではなく、世界の新たな希望、そして明るい未来を指し示す象徴として細部まで丁寧に描かれている。この作品の「もう1人の主役」であることは、このことからも間違いない。

冒頭で、「高さ1kmの建物をつくるのが可能かどうかはわからない」と書いたが、実は現在、サウジアラビアのジェッダで、高さ約1007m(尖塔含む)、167階建ての「キングダム・タワー」が建設中である。設計者はブルジュ・ハリファと同じエイドリアン・スミスで、完成は2019年の予定だ。

高さが1000mを超えるビルは、一般にはハイパービルディング(超々高層ビル)と呼ばれる。現在はどこにも存在しないが、キングダム・タワーが完成すれば、世界で初めてのハイパービルディングとなる。高さでは、わずかに「スカイスクレイパー」のザ・パールには及ばないものの、人類の未来を照らす希望の塔となるはずである。

連載 : シネマ未来鏡
過去記事はこちら>>

文=稲垣伸寿

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事