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世界を目指す「社内発イノベーション」事例

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大手企業がイノベーションを興すにあたり、協業先が必ずしもスタートアップやベンチャー企業である必要もなければ、ゼロからの立ち上げである必要もない。得意分野を活かして合弁会社(ジョイント・ベンチャー)を立ち上げたケースを紹介したい。

出会いは必然だった

2015年10月、JapanTaxi CMO・金高恩氏とフリークアウト・ホールディングス 執行役員・溝口浩二氏はランチの席にいた。JapanTaxiのとある優秀なエンジニアを引き抜くためだった。ところが思惑は外れ、溝口氏は仕方なしに自社の事業を紹介することに。これが後にタクシーのデジタルサイネージ事業を手がける合弁会社、IRIS(以下、IRIS)設立につながることになる。

当時、金氏は「タクシーのメディアの刷新をしたい」と考えていた。コンプレックス商材が躍る紙メディアから一転、新しいメディアで売上につながる仕組みを生み出せば、運転によるインカムゲインありきのタクシー業界を変えられるのではないか。その矢先に上記ランチが開かれ、「タイミングがよかった」と金氏は話す。


株式会社IRIS 代表取締役副社長・溝口浩二氏

だが、合弁会社の設立にいたっては両社で温度差もあった。フリークアウトは数社の経験があったため社内の決裁もスムーズだったが、JapanTaxiは初。川鍋社長も当初は反対だったが、新たな売上の柱になると説得。こうして金氏はIRISの代表取締役社長に就任し、溝口氏は代表取締役副社長となった。

満稿続きの動画広告

IRISの展開するサービスは、「Tokyo Prime」という動画広告商品を主とする。JapanTaxiのグループ会社である都内最大手 日本交通のタクシー4500台の助手席背面に専用の10インチタブレットを設置。平均18分(東京都)の乗車時間を意識し、30秒の動画広告と、パートナー企業のコンテンツ15秒を交互に流す。単純計算すると24の企業ブランド広告を利用者に見せることができる計算だ。

配信する広告の内容にも気を遣う。紙メディアでは主流だったコンプレックス商材は一律NGとし、ブランディングのために大手企業やメディアのブランド広告を対象に切り替えている。

配信内容も状況に応じて変える。位置情報と連動しているため、天気を絡めて雨の日はこれ、晴れの日はこれと出し分けることもあれば、エリアに特化したもの、性別特定のものを流すこともある。


取材後乗車したJapanTaxiの車内より。このあと専用アプリで支払いまでスムーズにおこなうことができた(筆者撮影)

その結果、「タクシーで広告を見た」と消費者から広告主が言われるケースが増え、購買にもつながる等、反応も上々だという。「『動画かつ音も出るのでストーリーが伝わる』とよく言われます。おかげさまでここ1年間は満稿が続いています」と溝口氏は胸を張る。

文=木村忠昭

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