リラクセーションの考え方が人によって違うのは当然だが、最高のパフォーマンスを達成するために効果的な活動はあるのだろうか?
全米テニス協会(USTA)の書籍『Mental Skills and Drills Handbook(精神的なスキルと訓練のハンドブック)』の共同編集者を務めたパフォーマンス生理学者で、コバックス・インスティテュート(Kovacs Institute)の最高経営責任者(CEO)であるマーク・コバックス博士は、最高のリラクゼーション法は個人の覚醒レベル(arousal level)によって決まると考えている。覚醒レベルとは、人が素早く効果的に適切なタスクを遂行する準備具合を示すものだ。
完璧な活動は多くの要素によって決まる。覚醒レベルが高いことを好みがちで、野心的・攻撃的、対立をいとわない人は「タイプA」とされ、一方で思考プロセスを重視し覚醒レベルは低めで、物事を熟考して時間を過ごす人は「タイプB」とされる。あなたはどちらのタイプだろうか?
テニス選手の覚醒レベルが上がり過ぎると、ラケットを壊すなどコートで自制心を失う様子が見られる。コバックスによると「リラクゼーションでは、過剰な覚醒レベルを鎮め、ストレスをうまく管理できるようになることが大事」だという。
もう一つ考慮すべき要素は、自分が外向的なのか、内向的なのかだ。あなたは他者からエネルギーをもらうことで機能するタイプか、それとも一人で時間を過ごすことを好むタイプか? 人には「内向的タイプA」や「外向的タイプB」など、あらゆる組み合わせがある。コバックスがスポーツコーチングとカウンセリングで紋切型アプローチを採用しない理由もここにある。
コバックスは、どの活動が他より優れているかを特定しなかったが、ビデオゲームには注意が必要だと私に語った。ゲームには目の疲れや睡眠不足といった明らかなデメリットがあるため、遊ぶ時間は1日2時間以内に収め、午後10時半にはやめて十分リラックスする時間を持つことをコバックスは勧めている。
一方で、ある人のリラクセーション方法が「アクティビティー」とは呼べないこともある。多くのアスリートと同様、ミーシャ・ズベレフはオフ時のルーティンを大切にしている。それは、「夜に治療を受け、自宅でテレビを見てプレイステーションで遊び、(弟の)サーシャと時間を過ごすこと」だ。だが彼にとって特に重要なのは、良き仲間のようだ。