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──ヤンキーインターンで東京に来てもらうのも、移動をしてほしいからなんですね。

そうなんです。今年6月からは、東京以外の選択肢として「ハッシャダイリゾート(仮)」という事業も試験的に始めています。交通費と滞在費を負担することなく、リゾート地でアルバイトができるというプログラムです。

これはぼくにとっては大きな社会実験で、将来的には高校でも実践できるようなプログラムにしたいと思っています。

──社会実験というと?

ヤンキーインターンを通じてわかったのですが、地方の非大卒の人々をオンラインで啓発して東京まで来てもらうというプログラムでは、最初から「変わりたい」と思っている人にしか情報を届けられません。しかし多くの人はそもそも「変わりたい」と思っていないので、いまの方式には限界があるなと。言い方は悪いですが、彼らを啓発するのではなく、意識の低い状態のまま移動させて自然と学んでもらうのが、この事業でやりたいことなんです。

具体的には、プログラムを通じて彼らをリゾート地に移動をさせるだけでなく、現地にPCを送って「ハッカーコース」などのカリキュラムを受講してもらいます。その進捗度に合わせて時給が上がる仕組みを導入することで、「時給UP」という目の前の目標を追っていくうちにいつのまにかスキルが身についている、というモデルが機能するかを試しています。

教育者の方からは不純と思われるかもしれないですが、これはぼくたちが本当にヤンキーインターンに参加してほしかった人たちに教育を届けるための方法だと思っています。というのも、頭のいい人から「勉強しろ」と言われても人はなかなか変わらないですよね。ぼく自身も高校生のときはいわゆるヤンキーで、ほとんど学校に通わずに勉強をしていませんでした。でもアルバイトの時給を50円上げるためには、ひたすらマニュアルを読んで勉強をしていた(笑)。

だから、お金を稼ぎながら、夏は北海道、冬は沖縄に行けるだけでなく、現地で仲良くなった友達と一緒に勉強を頑張ることで時給も上がるような環境があったら、知らない間に人の可能性が広がっていく仕組みがつくれるかもしれない。最終的には、この成果を論文にまとめて国の認可をとり、高校という枠組みのなかで提供していけたらと思っています。

──今後は、伝統的な「教育」の領域にも切り込んでいくと。

はい、ハッシャダイリゾートを始めた理由は、既存の教育の仕組みが敗北したと思っているからなんです。そうしたなかで、ぼくたちの取り組みは最初は理解されないと思いますが、少しずつ「新しい学校のかたち」をつくっていきたい。意識の高くない人たちが意識の高くないまま向上していく──そういう仕組みこそが、いまの教育には必要だと思っています。

今後日本には、アジアからの移民も、欧米のトップ人材も来なくなる可能性がある。言葉の壁もあり、経済も成長せず稼ぐことができないからです。さらに日本の優秀な人たちもどんどん海外に出ていってしまい、地方ではますます少子高齢化が進んでいく。そのときに日本を支えるのが、経済を支えるために大きな価値を発揮できるのが、いまはスポットライトの当たっていない、地方の非大卒の子たちになるんじゃないかとぼくは思っているんです。



久世大亮◎1993年京都生まれ。ハッシャダイ代表取締役。京都で生まれ育った自身の経験から、地方と都市の「体験格差」を埋めるための非大卒向けプログラム「ヤンキーインターン」をスタート。2018年4月にDMM.comと資本提携を行い、DMMの子会社となる。https://hassyadai.com/

文=庄司智昭 写真=小田駿一

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