ビジネス

2018.09.12

ベイスターズが取り組む地域活性化 鍵は「決済」領域にアリ?

横浜DeNAベイスターズ 経営・IT戦略部 林裕幸


こうやって何かしらのユーザー側が使うメリットを検討したいと思っています。それは利便性や実益といった部分がどれだけ必要なのか。

そして実益をつけるのであれば加盟店側で用意する必要があるのか。その原資はどうやって捻出するのかなど、まだまだ細かい部分を詰めていかなければいけない。

そういった部分クリアにしてから、営業活動に移っていきたいなと。もしかしたら加盟店となり得る先にヒアリングしながら決めていくことになるかもしれないので、ヒアリングが済んでから加盟店の開拓はスタートしたいなと思っています。
 
──クレジットカード端末を導入していない加盟店もありそうですね。
 
決済手数料を取られる、クレジットカード会社の関係で現金化するのに時間がかかるなど、いろんな理由があると思っています。どういう条件であれば、ユーザーと加盟店の双方にメリットがある形でスキームが用意できるか。ここが一番の肝だと思っているので,そこをギフティさんと詰めていきたいと思っています。
 
地域を活性化させる使命感

──地域通貨を購入するインセンティブの設計も難しそうです。
 
Suicaなどは利便性だけで勝負していて、基本的にはインセンティブを設計していない。その考えを踏襲するならば、例えばこんな感じです。

現在、スタジアム内のビールの販売員からは現金でしか購入できませんが、電子地域通貨で購入できるようにすることで利便性を向上させる。これだったら、特別感がなくても十分成り立つかもしれない。ただ、クレジットカードの還元の水準である0.5%を上回らないと地域通貨を使ってくれないなど、単一的な答えがあるわけではないと思いますし、簡単に「これだ」と思う選択肢は見つけられないと思っています。

ですから、スモールスタートでスタートし、試行錯誤を繰り返しながらユーザーにヒアリングしつつ改良していくこともあり得るんじゃないかな、と。3万人が足を運ぶスタジアムで内での検証は難しいので、どういう方法でやるかは検討しなければいけませんね。



──地域通貨の話に戻るのですが、地域の飲食店は課題を抱えていたりするんでしょうか?

現状の課題感は正直、把握できていない部分もありますが、潜在的な課題としては関内エリアから2020年に横浜市役所が移転します。5000人くらいの人がいきなりいなくなると、街の空洞化が起きてしまいますし、飲食店などはお客さんが来なくなってしまうかもしれない。

そういった課題が控えている中で私たちが人を集め、地域を活性化させていく。そこに使命感を感じていますし、取り組み続けていけなければいけないと考えています。

──提供はいつぐらいを想定しているのでしょうか?

まだまだ詰めていくべき部分が多いので何とも言えない部分がありますが、思いとしては来シーズン中に何かしらのスタートを切れたらいいなと思っています。ただ、それが超えるべきハードルの関係上、想像よりも遅くなる可能性は十分にあります。なるべく、早めにスモールスタートをしたいなとは思っていますが(笑)。

横浜DeNAベイスターズは「球団」というソフト面でのコンテンツは持っており、横浜スタジアムというハード面でのコンテンツも持っている。また、親会社にDeNAいることでテクノロジー領域にもさまざまな知見がありますが、DeNAグループだけではカバーできていない技術や知見、アイデアなどを持っている企業と組んでいきたい。

それが「BAYSTARS Sports Accelerator」を始めるきっかけでした。大企業ではなくベンチャーと協業することによって、新しいスポーツ産業が生まれたり、街にスポーツ産業が集積したりする可能性もある。そういった点も横浜スポーツタウン構想で掲げている部分ですし、いずれ実現していきたいと思っています。

文=竹中 玲央奈 写真=若原瑞昌

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