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「中国を飛ぶ航空機は1日3500便。これでは少なすぎる」

さて、「デジタルスカイ」プロジェクトはもっと大きな挑戦だ。いま中国は、世界中で最も航空事情が忙しい場所のひとつだろう。月に10回以上利用しているが、9割以上が時刻表通りにフライトしないからね。

なぜそんなに空が忙しいのか? 航空業界関係者に教えてもらったのだが、1日に中国を飛ぶ航空便は、3500便程度だというんだ。

たったの3500便! 僕はこの数字をひどく少なく感じた。しかも、それだけのために100以上の空港で数え切れないスタッフが稼働している。なんて効率が悪いんだろう。

さらに驚くことに、飛行機の発着は指揮塔からの音声によって管理されているが、それは本当に人間の肉声が使われているというんだよ。指揮塔どうしで「ついたよ」「これか降りるよ」「わかった、しかし5分間旋回してくれ」とやり取りする。

これはアメリカでも同じで、彼らは何度も危険な状況に遭っているらしい。降下中の飛行機のたった数10m上を、離陸機が通過するとかね。彼らはとてもヒヤヒヤしたと言っていたよ。

全てのシステムを変革できれば、10倍の航空量はたやすいはずだ。なにせ、皆さんが生まれてからこれまでの30年近く、このシステムはほとんど変わっていないのだから。一番安全なのは何も変えないことだとはいえ、あまりに保守的だ。けれど、彼らも変わるべきだと思っているように見える。一朝一夕では変わらないだろうが、きっと可能性はあるよ。

誰も使っていない「低空域」を産業化する



2年前に私たちがデジタルスカイのコンセプトをつくったとき、多くの人に理解されなかった。「空には何もないじゃないか。そこで何をやるんだ」とね。

それに対する答えはこうだ。「何もないからこそやるんだ」。デジタルとよく似て、空には何もない。つまり、我々が新たに色々定義できるんだ。

我々は航空市場を3つのレイヤーに分けている。上空の「商業航空」、その次の「一般航空」はこれまでの業界にもあった領域だ。これらのレイヤーでも、我々はコラボレーションを目指している。例えば、5Gで飛行機の中で動画を見たり写真を送ったりできるんだ。

しかし、「低空域航空」は新しい。これまで難しかった空域を、ドローンがカバーするんだ。

ドローンの移動はまだ不安定だ。いまだに1台につき1人の操縦者が必要で、しかも彼らの目で見える範囲でしか移動できない。ドローン1台で生み出す価値は、まだ全く高くないんだ。

しかし、1つのコンピュータで1000台のドローンを管理できれば、このコストは大きく変わるだろう。2020年までに配送コストは70%近く削減できると予想している。また、トラックでは9時間近くかかる紅原空港から成都物流センターまで、ドローンなら1時間で移動できるはずだ。

将来、様々な産業は変革するだろう。そのためにはオープンな姿勢でコラボレーションするのが大切だ。我々の究極的な夢は、デジタルの解放だ。

文=野口直希

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