同じ職場で知り合ったのが、後に一緒に起業することになるNiklas Adalberthだ。9月6日、アムステルダムで開催されたフォーブスの「30アンダー30サミット」で、Siemiatkowskiはクラーナの創業当初の思い出を振り返った。
クラーナは今やスウェーデンを代表するユニコーン企業の1社となり、同国のオンライン決済の半数近くを処理しているが、起業当初は困難に直面した。クラーナの立ち上げは2005年、Siemiatkowskiらがストックホルム商科大学に在籍中のことだった。クラスメートのAdalberthとVictor Jacobssonの3人のチームで起業した。
「当時、学校で開催されたビジネスアイデア大会で、クラーナのアイデアを話した。そしたら、そんなの無理に決まってるだろといわれた」とSiemiatkowskiは話す。「あまりいい気分ではなかった」
しばらくして、ピッチの審査員の一人が彼らに声をかけた。「彼はこう話したんだ。いいか、他の奴らがいうことなんか聞かなくていい。行動あるのみだ。銀行は君たちのアイデアをまるで理解できないに決まっている」
クラーナは現在までに累計5億ドルを超える資金を調達。「Pitchbook」のデータによると、2017年8月の調達ラウンドでは2億5000万ドルを調達し、企業価値は25億ドル(約2780億円)とされた。
クラーナの決済システムの特徴は、後払い方式をとっていることだ。同社は年間で膨大な金額を消費者に貸し付けているが、バランスシート上には10億ドル以上のキャッシュを抱えている。
クラーナのゴールは、オンライン決済の場で主要な決済手段となり、クレジットカードに置き換わる存在になることだ。同社がライバルと想定するのはペイパル傘下のPayPal Creditだ。
クラーナのユーザーたちは、Eコマースサイトで欲しいアイテムを見つけたら、メールアドレスと住所を入力するだけでいい。クラーナはそのユーザーの支払い履歴やウェブの閲覧履歴を分析し、信頼できる人物かどうかを判断し、商品の売り手に代金を支払う。
2005年に創業し、今では2500名の社員を抱える規模に会社を成長させたSiemiatkowskiは、チームの生産性を高めることに全力を注いでいる。
「まず大事なのは、物事の優先順位を決めること。そして、色んなことにノーということ。ネットフリックスやHBOは見ないことにしている。でも、ゲーム・オブ・スローンズは好きだ。暇な時は友達や家族と外に遊びにでかける。もちろん仕事もする。そういう人生を選んだんだ」と彼は述べた。
「自分はセールスマンとエコノミストの要素が入り混じったような人間だ」とSiemiatkowskiは続けた。
「例えば、エンジニアが僕のところにやってきて、このプログラムの完成までには12カ月かかると話したとする。一体なぜそんなにかかるんだ? それはいいことか、悪いことなのか? 自分は経営者として、常に最良の結果を生むための方法を考える。そんな心がけがあったからこそ、会社をここまで率いてこれたと思う」と彼は話した。