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2018.09.10

カラシニコフが発表のEV テスラに「対抗」豪語も実態は未知数

カラシニコフ「CV-1」(courtesy of Kalashnikov)




また、外装からは実態が分からない公式スペックやその他の性能も、自由市場で分析とテストを受ける機会が回ってくるまでの間は、額面通り受け止めざるを得ない。米消費者専門誌コンシューマー・リポートの報告を待つか、あるいは英BBC放送の自動車番組『トップギア』でCV-1が取り上げられるまでは(これにはしばらく時間がかかるだろう)、1回の充電で約350キロ走行可能という情報を信じることしかできない。

しかし、同車のバッテリーは90キロワットの巨大なものとされており、これは350キロよりもはるかに長い距離を走るのに十分な容量だと考えられる。カラシニコフ社はCV-1を多くの「複雑なシステム」を搭載した「スーパーカー」とし、イーロン・マスク率いる米テスラに対し、堂々と直接対決を挑んでいる。

私の結論としては2つある。まず、現時点でマスクとテスラにはロシアに追い抜かれる恐れはないということ。ただ、旧ソ連国家保安委員会(KGB)の後身であるロシア連邦保安庁(FSB)は、非常に利欲的で強力な技術局を有しており、その活動を拡大させている。そのためマスクは、従業員の履歴書を入念に見直し、潜伏スパイであることを示す経歴詐称がないかを調べた方が良いだろう。

2つ目に、旧ソ連・ロシアの産業生産にまさに言えることだが、この車について分かっているのは、これが電気を使って走る車輪のついた物体だということだけだ。それ以上を知るためには待たなければならない。CV-1でシベリアの大草原を横断してみる前に、実際の道で性能を検査する必要がある。

もちろん、冒険心にあふれた電気自動車ファンは、シベリアでCV-1の長距離走行テストをすることをカラシニコフ社に申し出てみてもいい。だがその時は、充電機能を備え交換部品を積んだ長距離ヘリコプターを道中の節々に手配しておくこと。その間隔は350キロよりずっと短くしておくことをお勧めする。

編集=遠藤宗生

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