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2018.09.08

激化する自動運転トラック開発競争、背景には「ドライバー不足」

anekoho / Shutterstock.com

ウーバーは今年7月30日に、自動運転トラックの自社開発を打ち切ったと明らかにした。その1週間後の8月7日、かつてウーバーとグーグルで自動運転トラック開発を担当した起業家が設立したスタートアップが、4000万ドルのシリーズA資金調達を実施したことをアナウンスした。

ウーバーを3月に退社したDon Burnetteと、元ベンチャーキャピタリストのPaz Eshelの2名が4月に共同創業した企業が「Kodiak Robotics」だ。同社は長距離輸送トラックに特化した自動運転テクノロジーの開発を行なっている。

カリフォルニア州マウンテンビュー本拠のKodiakは調達資金で今後、エンジニアを増強し、人工知能(AI)を備えLiDAR センサーを搭載したテスト車両の実地試験を行なっていく。

「当社は自動運転テクノロジーをまず、長距離トラック分野に導入していく。このミッションを実行に移せることに感激している」と同社CEOのBurnetteはフォーブスの取材に述べた。ウーバーの場合は自動運転を、ロボットタクシーとトラックの双方に導入しようとしたが、Kodiakはトラックのみに専念する。

「多様なプラットフォームを運営する大企業は、物事の優先順位を決める必要がある。しかし、この分野で求められるのは一つの課題に100%フォーカスしていく姿勢だ。Kodiakは自動運転を長距離トラックに導入する際の課題のみに集中していく」とBurnetteは述べた。

全米トラック協会(ATA)のデータでは、米国のトラック業界は2017年末時点で年間5万人のドライバー不足に悩んでいた。一方でトラック輸送の需要は年々高まっており、自動運転の導入が期待されている。離れた倉庫の間をハイウェイで移動する長距離輸送は、混雑した都市部と比べるとAIの導入にも向いている。

自動運転トラック分野には既に様々な企業がひしめきあっている。アルファベット傘下の「ウェイモ」や「Embark」「Starsky Robotics」「TuSimple」などに加え、ウーバーを追放されたアンソニー・レバンドウスキーが密かに立ち上げた企業「Kache.ai」などが知られている。

編集=上田裕資

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