これが事実だとすれば、テスラは8月末までにモデル3の週産台数を6000台にするという目標を実現できなかっただけでなく、6月末に達成した当時の目標、週産5000台を維持することもできなかったということになる。
なぜマスクは、こうした目標を設定し続けるのだろうか?その問いに対する唯一の合理的な答えは、「テスラの株価を高値に維持するため」だ。
テスラは来年3月1日、転換社債9億2000万ドル(約1024億6000万円)の償還期限を迎える。転換価格は359.87ドルだ。同社にはその時点で、償還を実施し、さらに必要な設備投資を行うのに十分な現金はないと考えられる。そのため同社の将来にとって、株価は極めて重要だ。
「資金獲得」競争が激化
テスラの中核事業である高級車、そしてバッテリー式電気自動車(BEV)の分野はどちらも、資金獲得における競争が激化している。
例えば、BEVを生産する中国のNIO(ニーオ、上海蔚来汽車)は8月、ニューヨーク証券取引所への新規株式公開(IPO)計画を公表した。上場が実現すれば、12億ドル以上を調達できると見込んでいる。同社の時価総額は上場により、80億ドルを超える見通しだ。
また、英高級車メーカーのアストン・マーティンも同月、ロンドンでの株式上場を検討中だと発表した。IPOにより、13億ドルの調達を目指すという。同社の時価総額は65億ドルに達するとみられる。