大切な人を亡くした悲しみ その複雑な克服プロセスとは?

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悲しみの捉え方は誰しも違う

死について書かれた本や記事は多く、一部の人の役には立つかもしれないが、悲しみの捉え方は人によって違う。実際にそれを経験するまで自分がどのように感じるかは分からないし、悲しみを克服するプロセスが直線的ではないことにすぐ気づくはずだ。

出社していつものルーティンをこなす人もいれば、それら全てから離れる時間が必要な人もいる。しかし何があろうと、悲しみを乗り越えるための期限は存在しない。いつ心が癒え始めるか(または悲しみに襲われるか)は予想できないことだ。私の場合は、比較的調子の良い時期が続いたかと思えばある日突然、非常に強い力で悲しみに打たれ、その時していることが何であれ中断しなければならないときがある。

自分の癒やしのプロセスを尊重し、自分の気持ちに正直になること。自分の経験を誰かと比べたりせず、自分の悲しみ方を軽蔑する人は無視する。この荒波は、自分のやり方で切り抜ける必要があるからだ。

現実を受け入れ、呼吸する

時間がたてばあなたの考えも変わるだろうし、失ったものを受け入れる過程であなたも進化するだろう。心の奧に秘めたままの疑問や、忘れたい事実があるかもしれない。こうした瞬間を押しのけて居心地の悪さを忘れたい気持ちは理解できるが、それよりも現状をどう受け入れるかを学ぶのが得策だ。

それはおそらく簡単ではないだろう。多くの人は、悲しみを乗り越えるプロセスを波に例えている。一時は落ち着いて安らかに感じても、次の瞬間は完全に圧倒されてしまうかもしれない。つらい時も呼吸を忘れず、失った悲しみをためらわずに感じること。このプロセスを先延ばししても、悲しみがなくなることはない。

最初の数日、数週間、数カ月、こうした感情が湧き上がってきて席を外さなければならないことがあるかもしれない。周囲にいる人には、自分が経験していることを正直に話すこと。悲しみを癒やす中で、友人や家族に頼ろう。

もちろん、悲しみに圧倒されているように感じたり、1日を切り抜けることが難しかったりする場合は、専門家の支援を求めるべきだ。かかりつけの医者やカウンセラーに相談し、地域の支援団体を探す。誰かと話せば、より落ち着いた気持ちになれることが多い。

最も重要なことは、自分に優しくすることだ。短い散歩でも読書でも、バルコニーで温かい飲み物を手にぜいたくな時間を送るでも良い。毎日数分間、一人になる時間を作って自分が楽しめることをする。死について考えるときは、自分がどれだけ最高の人生を送りたいか、そして自分には最高の人生を送る資格があることを思い出すきっかけとすること。

翻訳・編集=出田静

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